スロー スリープ。 千葉県沖でスロースリップ観測。地震への影響と心配する必要は?

南海トラフ巨大地震 「スロースリップ」から見えてきた迫りくる危機

スロー スリープ

「南海トラフ巨大地震」はこうして起こる 今年も、日本列島周辺では大きな地震が相次いでいる。 6月の大阪府北部・震度6弱、7月の千葉県東方沖・震度5弱、そして9月には北海道が震度7の激震に襲われ、甚大な被害をもたらした。 そんな中、今後最も懸念されている「さらに大規模な地震」がある。 最大マグニチュード9、最大震度7の激しい揺れと、10メートルを超える巨大津波が各地を襲い、東京、大阪、名古屋で都市機能が麻痺。 地震後20年にわたる長期的な経済損失は1410兆円、国の年間予算の10倍を超えるとも予測され、専門家は「最悪の場合には、日本が世界の最貧国に転落する危険性すらある」と警告する。 「南海トラフ巨大地震」では、津波や建物の倒壊、火災による犠牲者を含めると最悪32万人にものぼる恐れがあるといわれている。 東北大学助教の高木涼太さんが、Xデーの鍵をにぎるとして注目しているのが、「スロースリップ」と呼ばれる現象だ。 プレート同士が強くくっつきあった固着域の周辺で、陸側のプレートの一部が、ゆっくりと静かにずれ動くもので、人が揺れを感じる地震は生じない。 そのため、これまでとくに危険なものだとは考えられていなかった。 ところが、東日本大震災をきっかけに、その認識が塗り替えられた。 マグニチュード9の本震が起きる2か月前から、震源のすぐ近くで、まるで前触れのようにスロースリップが起きていたのだ。 そのほかの過去の地震でも詳しく調べると、メキシコで発生した大地震でも、2か月前から震源の近くでスロースリップが。 チリで起きた巨大地震でも、地震に先立って周辺でスロースリップが起きていたことが明らかになった。 スロースリップが、巨大地震の発生につながっている可能性が浮かびあがってきたのだ。 では、今後巨大地震の発生が警戒される南海トラフでは、どうなのか?高木さんが詳しく分析したところ、南海トラフでもスロースリップの不気味な動きが見つかった。 その現象が見つかったのは、南海トラフの西の端、日向灘周辺の海底下。 四国の地下深くから東へと広がる南海トラフの固着域からは、100キロも離れた領域だ。 そこで、まず2002年1月にスロースリップが発生。 その後も、さらに固着域に近づくような場所で、相次いでスロースリップが起きていた。 同じような現象は、2006年、そして2013年にも発生していた。 スロースリップの発生場所が固着域に向かって移動していくような現象が、繰り返されていたのだ。 「驚きました。 スロースリップが移動している現象がみえた。 さらにそれが繰り返し発生していることが見つかった時は、とても驚きました。 」(高木さん) 高木さんは、新たに発見されたこの「スロースリップの移動現象」が、巨大地震の発生を切迫させる要因になりうると警告する。 高木さんが考えるメカニズムは、こうだ。 スロースリップが起きると、陸側のプレートの一部がゆっくりとずれ動く。 この動きによって、くっついたまま動いていない周辺の岩盤が変形し、そこに「ひずみ」が生じる。 すると、そのひずみの影響で、すぐ隣の領域でもスロースリップが引き起こされ、さらにその周辺に新たなひずみを生じる。 これを繰り返し、最後に固着域のすぐ近くでスロースリップが起きると、「固着域」の縁に新たなひずみが加えられる。 この移動現象が繰り返されるたびに、固着域の縁にはますますひずみが加えられ、大きなひずみをため込んだ固着域を圧迫していく。 そしてある時、スロースリップの発生が最後の一押しとなって、固着域のひずみが限界に達すると、巨大地震が引き起こされるというのだ。 東京大学地震研究所所長の小原一成さんは、最近の研究によって、南海トラフの固着域を取り囲むように、広い範囲でスロースリップが起きていることが分かってきたと話す。 「スロースリップは、もともと豊後水道の海底下で発生していることが知られていたが、それ以外にも日向灘から四国中部にかけての領域でも発生が確認されている。 また、これらのスロースリップの発生場所が時間とともに移動していく様子も明らかになった。 」(小原さん) 1回1回のスロースリップの発生が地震に与える影響は微弱だが、それが「最後の一押し」となって巨大地震を引き起こす可能性がある。 だからこそ、スロースリップの起こり方に十分注意する必要があると小原さんは言う。 切迫する南海トラフ巨大地震。 国は被害を少しでも減らそうと、去年11月、新たな制度を導入した。 南海トラフの震源域周辺で何らかの異常な現象が発生し、「今後大規模な地震の発生可能性がふだんより高まっている」と判断された場合、それをいち早く「臨時情報」として伝えるというものだ。 「臨時情報」を発表するのは、南海トラフ周辺の地震活動などを監視する気象庁だ。 たとえば、南海トラフに横たわる大きな想定震源域の片側半分がずれ動き、マグニチュード8クラスの地震が発生した場合、まだずれ動いていない残りの震源域でも大規模な地震が発生する可能性がふだんより高まっていると伝える。 また想定震源域の一部でマグニチュード7クラスの一回り小さな地震が発生した場合にも、それに引き続いて巨大地震が発生する可能性が高まっていると伝える。 巨大地震発生の可能性が高まっていることを事前にいち早く伝えることで、自治体や住民、企業などに備えを促し、その後実際に巨大地震が起きた際の被害を減らすことが目的だ。 ただし、巨大地震の前兆とみられるような現象は、必ずしも起きるわけではない。 異常な現象が何も観測されないまま、突然巨大地震が起きることも多い。 しかし、先に挙げた「臨時情報が出されうる2つのケース」は、過去に南海トラフなどで実際に起きたことがあるものだという。 まず1つ目の、「震源域の片側半分で大地震が起き、その後、残りの領域でも大地震が起きる」ケース。 実は南海トラフでは、これまでに何度も巨大地震が発生しており、その多くが「2つの大地震が時間差を置いて発生」している。 たとえば70年前に起きた巨大地震では、まず震源域の東半分でマグニチュード8クラスの地震が起き、その2年後に、震源域の西半分でもマグニチュード8クラスの大地震が発生。 160年前に起きたときには、これら2つの巨大地震が発生した時間差は、およそ32時間だった。 また、「臨時情報が出されたからといって、必ずしも実際に巨大地震が起きるとは限らない」ことも重要なポイントだ。 起きるかどうかが不確実な中で出される、臨時情報。 私たちは、それをどのように捉えればいいのだろうか。 名古屋大学減災連携研究センターのセンター長・福和伸夫さんは、「臨時情報が発表された時にどう対応するか、それぞれの立場で考えておくことが大切だ」と強調する。 ですから、空振りを覚悟、でも見逃しだけはしないという態度で、その時にできる対策をしておく。 今日にも臨時情報が発表されるかもしれません。 発表された時に、どういう対応をしておけば被害をより減らすことができるか。 それをあらかじめ、それぞれの方の立場で考えておくことが大事だと思います。 「もしも東日本大震災の時、2日前に発生した前震の段階で臨時情報が出され、事前の避難が行われていれば、津波などによる被害者の数は圧倒的に減らせていたに違いない」と、福和さんは言う。 「津波がすぐに来てしまうような沿岸の地域では、お年寄りや体の不自由な人、子どもを持つ家庭の方々など、避難に時間がかかり、いざ津波が発生してから逃げるのでは間に合わないような方は、できれば事前避難が望ましい。 」(福和さん) 事前避難で難を逃れる人が増える可能性がある一方、考えておかなければならない問題もあることが浮かび上がった。 それは、「事前避難の長期化」だ。 臨時情報は、何かしら異常な現象の発生を受けて出されるが、その後の状況の変化は非常にゆっくりとしており、危険性の高さがどう変わっているのかを的確に判断することは難しい。 そのため、「どういう状況になったら事前避難を解除するかといった判断基準は、非常に難しい問題」だと東京大学地震研究所の小原さんは言う。 住民アンケートでも、事前避難を続けられるのは「最長3日」と答えた人が最も多かった。 現実的には、臨時情報の発表から3日とか1週間といった時間がたっても、とくに危険性の高まりを伝える情報などが出されない場合、いつでもまた避難できる態勢を整えながら、一旦自宅に戻るという判断もあり得るという。 「地震の危険性が下がったわけではありませんから、十分な警戒をしながらふだんの生活を続けるということ以外ないと思います。 たとえば、どこが安全な避難路かをきちんと確認しておく。 それ以外にも、いざという時に向けてさまざまな心の準備をしておくだけでも、適切な対応がとれると思います。 」(福和さん) では、実際に臨時情報が出された場合、仕事や学校、幼稚園や保育園、さらに交通機関などは、どうなるのだろうか。 「極めて津波の危険度が高く、地震発生後すぐに津波が来るような場所にある学校などは、やはり休校にせざるを得ないとは思います。 しかし、そうではない地域にある保育園、学校、病院、福祉施設などは、万全の注意をしつつ、続けておくことが必要だと思います。 できるかぎり交通機関も止めないでおくことによって社会の影響を小さくしたい。 しかし、沿岸部を通る路線は、やむを得ず対応を考えていく必要もあると思います。 」(福和さん) 「臨時情報」を防災・減災にどう活かすか 長期に及ぶ可能性もある「事前避難」にどう備えるのか。 住民自ら対策に乗り出した地域がある。 最悪の場合、全国で最も高い34メートルの津波が想定される、高知県黒潮町。 高齢化率は4割を超える。 町はこれまで巨大地震に備えて、津波避難タワーの整備などを進めて来た。 しかし、津波避難タワーでは、長期間の事前避難は困難だ。 また、避難所に指定された学校は、臨時情報が出された場合でも、通常通り授業が行われている可能性があり、その場合には事前の避難場所には使えない。 風呂や炊事場など、事前避難が長期に及んだ場合でも生活できる設備が整っていた。 今後は、高台の住民にも、高齢者や体の不自由な人の事前避難を受け入れてもらえないか、交渉していく予定だ。 「地震が来てからではなかなか逃げられない部分がありまして、事前 臨時 情報を十分に活用して逃げていきたい。 」(篠田さん) 臨時情報をどう活かすかは、沿岸部の地域以外にとっても重要な課題だ。 南海トラフ巨大地震では、最悪の場合、震度7の激震に襲われる地域が、東日本大震災の時よりもはるかに広いエリアに及ぶとも予想される。 そこで、臨時情報が出された際の対応として考えられるのが、家具の転倒防止対策や消火器の準備などを今一度しっかり確認することだ。 さらに、外出先でも常に避難経路を確認。 地震が発生した場合に備えて、1週間程度生活できるような備蓄があるかどうかの確認も必要だ。 迫りくる未曾有の国難、南海トラフ巨大地震。 問い続けることが、私たちの未来を変える「鍵」になる。

次の

スロースリップ(千葉東方沖)は大地震の前兆?過去のデータから検証!

スロー スリープ

スロースリップ(: slow slip)は、の用語で、普通のによるのすべり(スリップ)よりもはるかに遅いで発生する滑り現象のことである。 「 スローイベント」「 スロー地震」「 ゆっくりすべり」 「 ゆっくり地震」「 ぬるぬる地震」 などとも呼ばれるが、厳密には「スロースリップ」か「ゆっくりすべり」が最も的確に意味を表している。 などのではよく見られる現象。 また、1つのの中に存在するの面でも発生する。 により整備されたの観測結果が当該事象発見のきっかけとなった。 SSE( Slow Slip Event)と略される事もある。 「普通の地震よりもはるかに遅い速度」というのは、地震を起こす 地殻変動の速度のことである。 地震としては、地震動の 継続時間が非常に長く、地震動の 周期が比較的長め(約0. 5秒 - 数十秒、領域)であるという特徴を持つ。 海溝付近のプレート境界の断面図。 いくつかのパターンを示した。 大陸プレート 2. 付加体 3. 海洋プレート 4. 安定すべり域 5. 固着域 6. 遷移領域 スロースリップのほとんどは黄色で示した6. 遷移領域で起こる。 海洋プレートが大陸プレートの下に沈みこむ構造(沈み込み帯)では、海溝ができ、プレート同士の境界面の一部が強い圧力によって密着して固定され(固着)、固着域()ができるのが一般的である。 固着域は、数十年から数百年の間圧力を溜め込んで動かず、地震の時に一気にずれ動く部分である。 通常、この固着域は帯状に分布するものもあれば、まだらに分布したりするものもあり、大きさも分布も場所によってさまざまである。 大まかに見れば、海溝に対してほぼ平行に分布する。 ちなみに、この固着域の分布はプレート同士の境界面のに関係があるとされているが、温度だけでは説明できず、そのほかにも多数の要因があると考えられている。 固着域の周り(すぐ内側と外側)には、スロースリップを起こしながら沈み込む部分(スロースリップ域、 遷移領域)が細長く分布し、そのさらに内側には地震を起こさずに安定して沈み込む部分(安定すべり域)が広く分布している。 的には、固着域はな不安定を起こす特性、遷移領域はに不安定破壊を起こす特性、安定すべり域は安定したすべりを起こす特性を持っている。 つまり、固着域は大きな振動を伴った地震、遷移領域は振動をほとんど伴わない地震や「すべり」、安定すべり域は振動を全く伴わない滑らかな「すべり」を起こす。 基本的には、沈みこむ海洋プレートは移動方向と同じ向きに、乗り上げている大陸プレートはその向きとは逆方向に、スロースリップを起こす。 また、プレート同士の境界面が、アスペリティとバリアの2種類で構成されているという考え方もある。 この考え方では、バリアは地震を起こさずに安定して沈み込み、安定すべり域と同じ働きをしているが、などが浸入することによってスロースリップを起こすようになるとしている。 日向灘から四国沖の豊後水道域で発生したスロー地震を分析した防災科学技術研究所によれば、深さによって3種類の性質の異なる地震が発生している。 また、これら3つの現象は周期的に連動して発生している。 深さ30 - 40 km - 深部低周波微動。 P波S波の区別が不明瞭な周期0. 5秒程度の振動現象で、数日程度継続する。 深さ30 km付近 - スロースリップイベント。 地震動を生じない程度のゆっくりした断層のずれ運動。 数年間継続することもある。 深さ5 km付近 - 超低周波地震。 1秒より短い周期の成分を含まない10秒程度の周期の地震。 サイレント地震とスロー地震 [ ] 厳密には、地震によるすべりを伴わないスロースリップを サイレント地震(silent earthquake)、地震によるすべりを伴うスロースリップを スロー地震(slow earthquake)というが、使い分けは研究者の間でも正確ではない。 スロー地震はによる観測が可能であるが、サイレント地震は観測不可能であり、などで継続的に変位の観測を行わなければ発見できない。 また、のように、震度が比較的小さいながらも巨大なが発生する地震があり、これは「」と呼ばれている。 津波地震が発生する原因には、地震時のすべりが遅いことが関係していると考えられており、津波地震はスロー地震に含められることがある。 スロー地震はゆっくりとした揺れで大きな津波を伴うことから、サイレント地震はゆっくりとした揺れで津波さえ伴わないことから名づけられたとされているが、現在は地震以外の「滑り」にまで語義が拡大されている。 サイレント地震は、継続期間が数日間の 短期的スロースリップと、継続期間が数か月から数年と長い 長期的スロースリップに分けることがある。 アフタースリップ [ ] また、大地震の発生後に震源域の周囲で発生する速度の遅いすべりを余効滑り(アフタースリップ、after slip、または)といい、これもスロースリップに含めることがある。 スロースリップ構造の例 [ ] 地域により特徴が異なり、南海トラフ沿いの西南日本のスリップでは微動を伴うが、房総半島沖のスリップでは通常の地震が発生する。 日本海溝 [ ] 三陸沖 [ ] では、3度のにおいて、余効滑り(アフタースリップ)が観測された。 1989年の地震(Mw7. 2)では約10日間、1992年の地震 Mw6. 9 では約1日間、1994年の地震 Mw7. 7 では約1年間をかけて、それぞれ地震本体の規模より大きな規模のスロースリップが発生した。 2011年3月9日に発生した東北地方太平洋沖地震の最大前震 M7. 3 およびその余震活動 M4 - 6 においてもスロースリップが観測されている。 三陸沖では、固着域とスロースリップ域が帯状ではなくまばらに分布している部分もあることが分かっている。 深さでは、20 - 50 km付近に分布している。 相模トラフ [ ] 房総半島沖 [ ] 東部から千葉県東方沖にかけての領域では、地表にあるの下で、が太平洋プレートとの間に沈みこんでいる。 北アメリカプレートとフィリピン海プレートの境界面では、1983年・1990年・1996年・2002年・2007年・2011年・2014年・2018年の計8回、スロースリップが発生した(観測によるものと、事後解析によるものがある)。 2011年3月までの過去30年間に5回の活動が観測され、活動間隔は4年10か月 - 7年7か月間隔(平均6年間隔)で発生している。 スロースリップ発生時にはそれに伴うが発生しており、スロースリップが誘発したものだと考えている。 活動中にはマグニチュード4 - 5の地震が起こる可能性があり、2007年8月の同現象発生時には最大マグニチュード5. 3(16日) 、最大震度5弱(18日) となった群発地震が発生している。 2011年10月には6回目の観測となるスロースリップ現象が、過去最短の4年2か月の間隔で観測された。 この現象については、同年3月に異なるプレート境界で発生したの影響で発生間隔が短縮した可能性があるとしている。 滑り量は10月26日から30日の5日間で南東方向に約6 cmで、放出されたエネルギーは Mw 6. 5 程度と推定された(Mwは)。 2014年1月2日 - 1月10日の活動 では、プレート境界面上の滑りは南東に最大で約6 cmと推定されており、それまでの最短だった前回2011年の活動間隔(4年2か月)よりも更に短く、2年3か月で発生した。 後日に行われた詳細解析では、ゆっくりとした滑りは12月上旬から始まっていて、12月下旬にかけて徐々に加速した滑りは12月31日から急加速し2014年1月3日に最大になったが1月10日には急減速した。 2月1日までに放出されたエネルギーは Mw 6. 5 程度と推定されている。 南関東 [ ] 1970年にでM6. 5相当、1989年に千葉県中部でM5. 9相当のスロースリップが発生した。 南海トラフ [ ] 東海地方 [ ] では、(海溝の1種)での下にが沈み込んでいる。 付近では、2000年から2004年まで、年間1 cm程度の速度で長期的SSEが発生していることが、GPSの観測により判明した。 当初は、に関連のある異常、特に東海地震発生の引き金なのではないかとの見方があり、多くの研究がなされた。 結果、東海地方のプレート同士の境界面は通常とは異なることが判明した。 東海地方の南東には、と平行してという細長い海底山脈がある。 この銭洲海嶺は古くから何度も活動しており、東海地方の地下には沈み込んだ古い銭洲海嶺が何列も存在している。 プレート同士が強い圧力によって滑っている境界面では、銭洲海嶺のような隆起した地形があると、海水などの水がと一緒に地下に沈み込み、そのままプレート同士の境界面を作ってしまう。 地下では深く沈み込むに従ってが高まるため、堆積物に含まれる水は内から外に染み出し、鉱物同士の隙間に入り込んで高圧の水となる。 これを「高間隙水圧帯」という。 水はが低いため、高間隙水圧帯はの働きをして、鉱物同士が押し合うプレート境界よりもすべりやすくなる。 東海地方の地下では、銭洲海嶺の影響で高間隙水圧帯ができ、そのため、スロースリップを起こす部分の幅が通常よりも広くなり、スロースリップの規模が大きくなっていることが分かった。 東南海地域 [ ] 2006年1月に、からにかけての地域で、を伴った短期的スロースリップが発生した。 2相当と推定され、活動範囲が次第に西から東へと移動していく現象も観測された。 日向灘 [ ] 1996年には、で10月19日と12月3日にそれぞれM6. 6の地震が発生したが、その余効滑り(アフタースリップ)が同年に観測されている。 また、1997年には付近でスロースリップが発生した。 日向灘では、スロースリップ域は深さ15 - 40 km付近に分布している。 その他 [ ] この節のが望まれています。 その他、の ()、の ()、、 ()、、、、 ()でスロースリップの発生が確認されている。 観測システム [ ] 日本ではにより運用される(Hi-net)に併設された高感度加速度計(傾斜計)により得られたデータを利用し、短期的スロースリップイベント(SSE)を自動検出する手法する方法が考案され 、2011年2月より準リアルタイムでの自動SSEモニタリングシステムが四国地方を対象として稼働中である。 スロースリップと地震予知 [ ] スロースリップのうち、特に余効滑り(アフタースリップ)は、周囲のプレート境界面のに変化を及ぼして地震()を誘発するという見方が有力である。 一方、一般的なスロースリップについては、スリップが固着域に影響を及ぼして大地震を誘発する可能性があるとの見方がある。 上記(「」)に参考文献を挙げて述べたように、2007年8月16日および18日の千葉県東方沖地震と同時期、また、2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震の1カ月強前以後など、地震と同時期にスロースリップが観測され、等により分析されている。 しかしながら、スロースリップの状況から次に起こる大地震の発生時期や規模を、または発生しないことを確実に予報するには、まだ知見が乏しい。 それでも、当該地域に地震の可能性として当面の警戒を呼びかける程度は、行われるようになった。 政府の平田直委員長は、「残念ながら、今の地震学の実力では、いつどこで地震が発生するか、といった地震予知はできません。 (中略)それでは、なぜ11日の記者会見で注意を呼び掛けたのか。 それは、6月に入ってから千葉県東方沖のプレート境界で、「スロースリップ(ゆっくり滑り)」と呼ばれる現象が起きていることが、気象庁や研究機関のデータから確認できたためです。 」「過去に起きたことはまた同じようなことが起きる可能性が高い。 そういう意味で警戒を呼び掛けました。 いわゆる地震予知とは違います。 大きな地震が発生した後に余震について注意を呼びかけますが、それと似ていますね。 」と語った。 出典 [ ]• 測地学テキスト 第3部 応用編 ゆっくり地震 、日本測地学会 [ ]• 八木勇治、、「」 『地学雑誌』 2003年 112巻 6号 p. 828-836, :• 地震予知連絡会• 地震の基礎知識 防災科学技術研究所 脚注 [ ] []• NHKニュース 日本放送協会. 2013年5月28日. の2013年5月29日時点におけるアーカイブ。 2013年5月29日閲覧。 朝日新聞デジタル. 2020年1月16日閲覧。 ハザードラボ• 防災科学技術研究所• 最新成果事例集2014 防災科学技術研究所• 地震予知連絡会会報 第85巻(2011年2月)• 東大地震研究所:加藤愛太郎、小原一成、五十嵐俊博、鶴岡弘、中川茂樹、平田直• 防災科学技術研究所• - 読売新聞、2011年10月31日• - 時事通信、2011年10月31日• - 防災科学技術研究所、2011年10月31日• - R25、2011年11月7日• 地震予知連会報 第87巻• 地震予知連絡会 会報 第92巻• 防災科学技術研究所• 2018年6月22日. 2018年6月28日閲覧。 2018年6月12日. 2018年6月17日閲覧。 2018年6月20日. 2018年6月28日閲覧。 関連項目 [ ]• 参考文献・外部リンク [ ]• 海洋研究開発機構、『海と地球の情報誌 Blue Earth』、pp. 26-29、2004年9月10日• 地震予知連絡会会報• 会報 第77巻• 松村正三、防災科学技術研究所 会報 第79巻• 瀬野徹三• 山岡耕春• 防災科学技術研究所、2006年2月7日• 防災科学技術研究所、• Ichiro Kawasaki, "Earth Planets Space", No. 56, pp. 813-821, 2004. [ ]• Tetsuzo Seno, Earth Planets Space, No. 55, pp. 649—665, 2003.

次の

気になる地震、スロースリップ

スロー スリープ

スロースリップ(ゆっくりすべり) 地震とは、地下の岩盤に蓄積されたひずみエネルギーを断層のすべり運動により解放する現象です。 通常の地震では、断層が高速(1秒間に約1m)にすべり、地震波を放射します。 一方、スロースリップ(ゆっくりすべり)と呼ばれる、ゆっくりと断層が動いて地震波を放射せずにひずみエネルギーを解放する特異な現象が、2000年代初頭から日本で稠密な観測網により検出されるようになりました。 その後、日本だけでなく、世界中のプレート境界においてもスロースリップの検出が相次ぎました。 現在では、プレート境界の断層では、スロースリップと高速なすべり(通常の地震)の両方が発生していて、お互いに影響を及ぼしあっていると考えられています。 プレート境界で発生するスロースリップは、さらに短期的スロースリップと長期的スロースリップに分けられます。 短期的スロースリップは、およそ数日間かけて発生する現象で、東海地方や四国地方では数か月に1回の頻度で発生していることが知られています。 また、長期的スロースリップは、数か月から数年かけて、プレート境界がゆっくりすべる現象で、東海地方や四国地方では、過去に繰り返し発生していたと推定されています。 また、短期的スロースリップや長期的スロースリップが発生しているときには、深部低周波地震活動が活発になると言われています。 スロースリップイベントは、ひずみ計、傾斜計、GNSS観測などで検出することができます。 また、水準測量のデータなどから、過去のスロースリップイベントを見付ける試みも行われています。 一方で、スロースリップイベントが高速なすべり(通常の地震)に与える影響などを、数値シミュレーションによって明らかにしようとする研究も進められています。

次の