ウィリス 動脈 輪 と は。 ウィリス動脈輪閉塞症(ウィリスどうみゃくりんへいそくしょう)とは

ウィリス動脈輪

ウィリス 動脈 輪 と は

内頸動脈は、頭蓋内(眼球の奥)で2本に分かれる。 1本は、中心部を上後方に走る 前大脳動脈で、 もう1本は、外側にまわり、側面を後方へと走る 中大脳動脈である。 前大脳動脈は前頭葉・頭頂葉に、 中大脳動脈は前頭葉・頭頂葉・側頭葉に血流を供給している。 左右の椎骨動脈は、延髄腹側で1本に合流し、脳底動脈となる。 脳底動脈からは多数の穿通枝動脈が出る。 脳底動脈は左右の上小脳動脈に分岐したあと、すぐに左右の後大脳動脈となる。 脳底動脈は脳幹・小脳に、後大脳動脈は後頭葉・脳幹に血流を送っている。 図に示した主幹動脈はもちろん、 その次に分岐する血管も(主幹動脈から直接分岐する穿通枝動脈を除いて) ほとんどが クモ膜下腔内を走行する。 脳実質内に入るのは、細動脈になってからである。 そのため、脳動脈瘤の破裂で クモ膜下出血となり、 穿通枝動脈の破綻で脳内出血となるのである。 このネットワークを ウィリス動脈輪という(主幹動脈輪ともいう)。 静脈系 脳を灌流しおわった血液は、脳表の静脈を経由して 静脈洞に注ぐ。 静脈洞には、上矢状静脈洞・横静脈洞・海綿静脈洞などがある。 これらの静脈洞に集まったのち、S状静脈洞を経て内頸静脈にいたり、心臓へ還る。

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頭部MRA(脳の血管)の解剖の基本!ポイントを動画付きで解説!

ウィリス 動脈 輪 と は

もやもやびょう 概要 もやもや病は、別名ウィリス動脈輪閉塞症とも呼ばれ、日本で発見された病気です。 心臓から脳に向かう血管は、左右の内頸動脈と左右の椎骨動脈の4本からなります。 これら4本の血管は頭蓋内に入ると、それぞれが交通し合う動脈の輪(ウィリス動脈輪)を作ります。 もやもや病は、ウィリス動脈輪がゆっくりかつ進行性に閉塞して行く疾患です。 この結果、脳血流が悪くなるので、自然の防衛策として側副血管と呼ばれる血流を補うための新しい血管が作られます。 ウィリス動脈輪閉塞症の患者さんに脳血管撮影検査を行うと、この側副血管が「もやもやとした血管」に見えるため、もやもや病と呼ばれています。 人口10万人に対し1年間0. 35~0. 5人程度の発生率で、男女比は1:1. 8で女性に多く、よく発症する年齢は10歳以下と40歳前後の2つのピークが見られます。 厚生労働省より難病に指定され、原因や治療法の研究が精力的に進められています。 症状 発症の仕方には2通りあり、 1 血流が不足して起こる虚血型、 2 負担がかかった血管が破れる出血型とに分かれます。 小児の場合は側副血管の発達が十分ではないために、 1 の虚血症状がほとんどであるのに対し、成人の場合は動脈硬化を生じることもあってほぼ半数が 2 の脳出血で発症します。 小児の場合、突然発症する片側の麻痺、知能低下、けいれん発作、頭痛などがよくみられますが、特に麻痺を起こす側が発作のたびに変わる時は、もやもや病を疑います。 典型的な運動麻痺は数分から数十分後には改善する一過性の脳虚血発作です。 特に、熱い麺類を食べるときのフーフーと吹く、あるいは楽器を吹く、など、短い時間に深呼吸を繰り返すと、一過性の脱力発作が誘発されるのが特徴です。 5歳以下の乳幼児は脳梗塞発症が多く、重症が多いとされています。 成人の場合、3分の2は脳出血で発症しますが、出血を生じる場所によって、意識障害、運動麻痺、言語障害、精神症状、と見られる症状は変わります。 残りの3分の1は小児と同様の虚血型で発症します。 診断 脳出血や脳梗塞の診断は、CTやMRIで行います。 この詳細はそれぞれの項目に譲ります。 CTで脳の萎縮が目立つ、MRIでもやもや血管が点々と黒く抜けて見えるなどの所見からもやもや病を疑わせる症例もありますが、一般的には、もやもや病は血管の病気ですから、血管を調べる検査を行って診断をすることになります。 もやもや病には診断基準があります。 脳血管を評価する検査として、MRAあるいは脳血管撮影、どちらかの方法で確定診断が可能です。 所見としては、 1 頭蓋内内頚動脈終末部、前および中大脳動脈近位部に狭窄または閉塞がみられる、 2 その付近に異常血管網が動脈相においてみられる、 3 これらの所見が両側性にあることが特徴です。 ただし、小児の場合では、片側であってももやもや病と確定診断されます。 なお、特別な基礎疾患、動脈硬化、髄膜炎、腫瘍、ダウン症候群、レックリングハウゼン氏病、外傷、放射線照射などがみられないことが、前提条件となっています。 また、手術など治療法を決めるためには、もやもや病の確定診断だけでは不十分であり、より詳細な血管の評価や副側路の発達の評価を行うための脳血管撮影や、脳血流を調べることで虚血の程度が判定できるなどの検査も必要です。 図1 治療 虚血症状がなく、頭痛や軽いけいれん発作しかみられない場合には、症状に応じた薬を飲んでいただいて、経過をみることもありますが、一般的には脳の血流不足を改善するための手術が必要です。 手術には、 1 血流が足りない頭蓋内血管と血流が足りている頭蓋外血管を直接縫い合わせて交通させる「直接血行再建術」、 2 血流が足りている頭蓋外の組織を血流が足りない脳の表面と接触させて自然に新しい血管が生えるのを待つ「間接血行再建術」とがあります。 もやもや病が原因の脳出血に対する治療は、通常の脳出血と同様ですが、脳出血予防の治療として血行再建手術が有効かどうかは、現在臨床研究が進行中で、結果が待たれるところです。 負担がかかった血管にできた動脈瘤から出血した場合には、動脈瘤に対する治療が必要となります。 1 直接血行再建術(頭蓋外・頭蓋内バイパス手術)• 全身麻酔で、主に頭部の皮膚や皮下組織を栄養している浅側頭動脈(せんそくとうどうみゃく)を脳の表面を走る中大脳動脈(ちゅうだいのうどうみゃく)に、手術用顕微鏡で確認しながら、縫い合わせて直接つなぐ(バイパスする)手術です。 もやもや病は、両側性の病気ですが、通常両方の脳に対して数ヶ月間、時期をずらして行います。 子供にもこの手術は行いますが、子供の場合には、次の間接血行再建を行う施設もあります。 成人は、間接血行再建の効果が乏しいので、直接血行再建を行います。 なお、頭蓋外・頭蓋内バイパス手術は、頭蓋内頸動脈狭窄症や頸部頸動脈閉塞症に対しても行われます。 図2 2 間接血行再建術• 全身麻酔で、主に脳を包む膜である硬膜に、頭部の皮膚や皮下組織を、浅側頭動脈をつけたまま縫い合わせ、血流豊富な組織として脳の表面に接触させて、新たに血管ができて自然に交通する環境を整える手術です。 この方法はEDAS イーダス:Encephalo-duro-arterio-synangiosis と呼ばれています。 接触させる組織として側頭筋を利用する方法もあります。 直接血行再建術を行った症例でも、広い範囲の血行再建を行う場合には、この方法を組み合わせて行う場合があります。 新しく血管のネットワークができるまで、数週間から数ヶ月かかります。 主に小児で適応になる手術方法で、成人での効果は一般的に乏しいと言われています。 直接であれ間接であれ、良好な血行再建ができれば症状は1年前後で軽快してきますが、もう既に脳梗塞や脳出血など、脳の病変ができあがってしまっている場合には、症状の進行は予防できるものの、すでに完成してしまった症状が改善する可能性はありません。 図3 慶應義塾大学病院での取り組み• 小児病棟スタッフと定期的なカンファレンスを行い、個々の症例ごとに患者さんに最適な治療法および管理法を検討しています。 神経内科と定期的なカンファレンスを行い、個々の症例ごとに患者さんに最適な治療法および管理法を検討しています。 麻酔科、小児科、小児外科と連携し、脳機能のみならず全身管理を重視した安全な術中管理を実施しています。 また、手術中の脳機能モニタリングを駆使した安全な手術を行っており、良好な成績を収めています。 さらに詳しく知りたい方へ• 2015[追補2017] 現在のスタンダードと考えられる治療が紹介されています。 難病指定されている「もやもや病」について解説しています。 文責: 最終更新日:2018年3月23日.

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もやもや病|慶應義塾大学病院 KOMPAS

ウィリス 動脈 輪 と は

脳底の動脈(大脳動脈輪を中心に) 動脈系 Circulus arteriosus cerebri 大脳動脈輪 Cerebral arterial circle ウィリスの動脈輪ともよばれる。 大脳動脈輪は脳底部において、内頸動脈と椎骨動脈の枝が連絡して形成された輪状ないし六角形の動脈吻合である。 構成にあずかる動脈は、内頚動脈側では前大脳動脈、左右の前大脳動脈を連絡する前交通動脈、中大脳動脈、椎骨動脈側では後大脳動脈、そして中大脳動脈と後大脳動脈を連絡する後交通動脈であり、それらが視神経交叉、下垂体漏斗部、乳頭体、後有孔質などを取り囲む動脈輪を形成する。 大脳動脈はすべてこの動脈輪を介して出るということができる。 大脳動脈輪は、脳のいろいろな場所へ血液を均等に分配すると言われているが、正常では血圧が等しいので大脳動脈輪の左側と右側との間で血液の交換はほとんど行われない。 大脳動脈輪と主要な大脳動脈から2種類の枝、すなわち中心枝と皮質枝が出る。 中心枝は、大脳動脈輪と主要な大脳動脈の近位部からでて脳の実質内に入り込み、脳の深部の組織に血液を供給する。 前脈絡総動脈と後脈絡叢動脈は、それぞれ内頚動脈の枝と後大脳動脈の枝として出るが、ともにこの中心枝のグループにいれられている。 脳内に侵入した血管、とくに中心枝は、他の動脈と吻合しないといわれていて、終動脈とよばれる。 人脳では終動脈は存在しないが、大きい血管に突然閉塞が起こると、これらの小動脈の吻合だけでは必要な血液供給を十分に維持することができない。 一方皮質枝は、それぞれの主要な大脳動脈から分岐して、軟膜内を通り大脳皮質の広い領域に多数の枝をだしながら、脳表面で自由に吻合して動脈叢を形成する。 この動脈叢より分視した小さな動脈は、大脳表面から皮質内にほとんど直角に入り込み、いろいろな深さに達する。 動脈輪の各部の発達には個人差が著しく、完全な輪が形成されないことがある。 英国の医学者Thomas Willis 1621-1675 により、1664年に発表された。 大脳動脈輪をつくる動脈の分岐部では、その壁は比較的弱く、動脈瘤aneurysmの好発部位となる。 とくに動脈輪の前部で後交通動脈・前交通動脈・中大脳動脈にしばしばおこる。 クモ膜下出血subarachnoid hemorrhageは動脈瘤の破錠によって生じることが多い。 ウィルス動脈輪は、脳の各部への血流を均等にする役をするといわれるが、正常の状態では、動脈輪の右半と左半の血液の交流はあまりないらしい。 ウィリス動脈輪閉塞症spontaneous occlusion of circule of Willis(脳底部以上血管網症)は、西本詮(岡山大学名誉教授)がはじめて報告した原因不明の難病で、内頚動脈の終末部と前・中大脳動脈近位部の狭窄ないし閉塞が見られる。 脳血管撮影のX線写真で脳底部に特有のモヤモヤした異常血管網が認められるで、モヤモヤ病moyamoya diseaseとか西本病Nishimoto diseaseとも呼ばれ、白人よりも日本人に多いという。 症例の約半数は15歳以下の小児である。 症状としては、一過性の脳虚血発作transient cerebral ischemic attack TIA などが出る。 1: Internal carotid artery 内頚動脈 Arteria carotis interna 内頚動脈は、総頚動脈から分かれて頭蓋底にいたるまでは枝を出さない。 ついで頚動脈管をへて中大脳動脈と前大脳動脈に分枝するまでをいう。 内頚動脈は頚部、側頭骨錐体部(岩様部)、海綿静脈洞部、大脳部の4つの部分に分けられる。 この内頚動脈の海綿静脈洞部と大脳部とは、特別な形態を呈するので、「頚動脈サイフォン」とよばれている。 内頚動脈の主な枝として、眼動脈、後交通動脈、前脈絡叢動脈がでる。 内頚動脈は、視交叉の外側で小さな前大脳動脈と大きな中大脳動脈とに分岐する。 中大脳動脈は内頚動脈の直接の続きで終枝と考えられる。 2: Anterior cerebral artery 前大脳動脈 [ACA] Arteria cerebri anterior 前大脳動脈は、視交叉と視神経の外側で内頚動脈から分岐する。 左右の前大脳動脈は視神経の背側を前内側方向に走り、相互に近づき、前交通動脈によって連結する。 前大脳動脈は、大脳縦裂の間に入り、大脳の内側面を上方に向かい、つづいて脳梁の背側面を後方に向かう。 前大脳動脈は、大脳縦裂の間に入り、大脳の内側面を上方に向かう。 前大脳動脈は、途中で次のような枝を出す。 前大脳動脈の異常は約25%の脳にみられる。 このなかには前大脳動脈が1本しかないもの、枝が反対側の大脳半球に分岐する例もある。 一側の前大脳動脈の本幹が閉塞すると、下肢に最も強い対側性麻痺が起こる。 両側の前大脳動脈の閉塞は、両側麻痺、特に下肢の両側性麻痺と脊髄疾患に類似の知覚障害をともなう。 3: Anterior communicating artery 前交通動脈[Acomm] A. communicans anterior 前交通動脈は左右の前大脳動脈を連絡するきわめて短い吻合である。 この吻合の形態もさまざまで、互いに接するような長さのない側側吻合のこともあり、一定の長さ 0. 1~3mm を有することもある。 その数も1~3本を認め、血管の直径も一定しない。 時には網状の形態を示すこともある。 臨床的に前大脳動脈の閉塞のときに現れる症候は、一般症状(意識障害、頭痛、嘔吐、痙攣など)のほかに、中心傍小葉や中心前回、中心後回の上内側端が巻き込まれてとくに下肢に強い反対側の片麻痺と軽い知覚脱失がみられるのが特徴である。 4: Middle cerebral artery 中大脳動脈[MCA] Arteria cerebri media 中大脳動脈は内頚動脈の続きであるが、前大脳動脈の分岐点を過ぎてからはじまる。 この動脈は、前有孔質を越えて外側方向に走り、側頭葉と島の間にある大脳外側窩に入る。 中大脳動脈は大脳動脈の中で最も大きく複雑であり、上方や後方に走る多数の大きな枝を分岐する。 この多数の枝は、島の背側周縁に達すると外側溝に向かって方向を急に下方に変え彎曲して走る。 Fischerらは Fischer E: Lageabweichungen der vorderen Hirnarterie im Gefassbild. Zentralbl Neurochir 3: 300-312, 1938 中大脳動脈を放射線学的にM1 horizontal 、M2 insular 、M3 cortical 区域と分類した。 中大脳動脈皮質枝はSylvius裂より脳表に出る際に強く屈曲し、この屈強部を横に結んだ線と中大脳動脈本幹の最も前方の点の間で三角形が形成される。 この三角形は、放射線学的にSylvian traiangleといわれ、脳血管撮影の重要な所見のひとつである。 微小外科解剖学的には各々M1 sphenoidal 、M2 insular 、M3 opercular 、M4 cortical segment or terminal segment となっている。 TAにおいてはM1 Pars sphenoidalis 、M2 Pars insularis 、M3 Rr. Terminales inferiores 、M4 Rr. Terminales superiores となっているので注意する。 島の部分にある中大脳動脈の枝の走行は、脳の血管造影図を解釈するのに非常に重要である。 この島の領域における中大脳動脈の枝は5~8本あり、Sylvius三角 Sylvian triangle と呼ばれる部分に存在する。 Sylvius点(尖) Sylvian point or apex は、血管造影法では中大脳動脈の最後の後枝が外側溝から脳表面に出現してくる部位である。 Sylvius三角の下縁は中大脳動脈の下方の枝が最も腹側で彎曲反転する部位によって形成されるが、一方、上縁は中大脳動脈から分岐した動脈が背側で弯曲して反転する屈曲部分で形成される。 大きな病変によってSylvius三角に存在する中大脳動脈の枝が移動した場合、脳血管造影図でたやすく見つけることができる。 この動脈の移動方向が病巣の位置に関する重要な情報を提供してくれる。 これらの皮質枝は、眼窩回の外側領域、下前頭回、中前頭回、中心前回と中心後回の大部分、上頭頂小葉、下頭頂小葉、側頭極を含む上側頭回と中側頭回に分布する。 この皮質枝のなかで一番大きな枝は、動脈幹から分岐してそれぞれの皮質領域に分布する。 一般に皮質枝は、1本または2本が各々の皮質領域に分布する。 前頭葉、側頭葉前部、頭頂葉前部に分布する皮質枝は、頭頂葉後部、側頭葉後部、側頭後頭野に分布する皮質枝より小さいが、数は多い。 また中大脳動脈から次のような枝がでる。 後側頭動脈は、尾方に走り、後頭葉の外側部に分布する。 また角回に分布する角回動脈は、中大脳動脈の終枝である。 中大脳動脈が分布している広い重要な領域には、運動野、前運動野、体性感覚野、聴覚野、統合機能に関与する広範な連合野などがある。 皮質枝を分岐する起始近くで中大脳動脈が閉塞すると次のような症状が出てくる。 特に上肢と顔面にも顕著である。 5: Anterior choroidal artery 前脈絡叢動脈 A. choroidea anterior 前脈絡叢動脈は後交通動脈の分岐部よりさらに遠位の内頚動脈から通常分岐する。 この動脈の特徴は、クモ膜下腔を長い距離を走り、しかも直径が比較的小さいことである。 前脈絡叢動脈ははじめ尾方に走って視索を横切り、次いですぐに側頭葉の前内側面に向かって外側方向に走る。 つづいて脈絡叢を通過して、側脳室の下角に入る。 この動脈が分布する部位として、脈絡叢のほかに、海馬体、淡蒼球の内側および外側領域(すなわち内側部の外がわと外側部の内がわ)、内方後脚の腹側部の大部分、内包のレンズ核後部全体などが含まれる。 またこの動脈の小さい枝は、視索、扁桃体の一部、尾状核尾の腹側部、被殻の後部、視床の腹外側領域にも分布する。 前脈絡叢動脈は細いが、広い分布域をもち、クモ膜下腔で長い走行をとるので、血栓が生じやすいといわれる。 この動脈の循環障害でとくに淡蒼球・海馬が侵されやすいといわれる。 6: Mesencephalic arteries 中脳動脈 Aa. mesencephalicae 中脳に分布する血管の大部分は脳底動脈に由来する。 この脳幹部に分布する動脈は次の通りである。 これらの動脈の枝は、橋に分布する動脈と同じように、傍正中枝、長迂回枝、短迂回枝に分類できる。 7: Posteromedial central arteries; Paramedian arteries 後内側中心動脈 Aa. centrales posteromediales 後内側中心動脈は、後交通動脈の全長と後大脳動脈の起始の近位部から分岐する。 この後内側中心動脈の枝のうちで、吻側の枝は、視床下部の下垂体、漏斗、灰白隆起に血液を供給する。 吻側の枝のなかで深部に穿通する枝は、視床の前部と内側部に分布するので、視床穿通動脈thalamoperforting arteriesとも呼ばれる。 また尾側から出る枝は、乳頭体や腹側視床の領域、また視床の内側核群にも分布する。 さらに最も尾側からの分枝は、中脳被蓋と大脳脚の内側部に分布する。 8: Posterior cerebral artery 後大脳動脈[PCA] A. cerebri posterior 後大脳動脈は、脳底動脈が吻側端で左右に分岐して形成され、大脳脚上を外側方向へ走る。 そして、後交通動脈と吻合した後、中脳の外側面に沿って迂回し、小脳テントの上面を通り、側頭葉と後頭葉の内側面と下面に広がる。 またこの後大脳動脈の枝は大脳半球の外側面上に広がり、下側頭回の領域、後頭葉のいろいろな部分、上頭頂小葉の領域などに分布する。 さらに、後大脳動脈の枝は、脳幹、第三脳室と側脳室の脈絡叢、および大脳皮質の領域にまで分布する。 9: Superior cerebellar artery 上小脳動脈[SCA] A. superior cerebelli 上小脳動脈は脳底動脈の吻側部に起始し、脳幹を背外側方に取り巻いて走った後、小脳半球上面を走る。 この動脈は次の主な2本の枝に分かれる。 内側枝と外側枝からの穿通枝は深部の小脳核、上髄帆、小脳髄体に分布する。 また第四脳室脈絡叢にも分布する枝も出す。 10: Pontine arteries 橋動脈;脳底動脈の橋枝 Aa. pontis 橋動脈は脳底動脈から出て橋に分布する動脈で、分枝して内側枝(正中傍枝)、外側枝(橋回旋枝)となる。 後者は長・短回旋枝に区別されることもある。 11: Basilar artery 脳底動脈 A. basilaris 脳底動脈(BA)は左右の椎骨動脈は脊髄の腹側面で合一して1本の脳底動脈となる。 脳底動脈は脳底を前進し、橋の前縁で左右の後大脳動脈に分かれる。 小脳前下面に前下小脳動脈を、内耳に迷路動脈を、橋に数本の橋枝を、小脳上面に上小脳動脈を与える。 左側の椎骨動脈は通常は右側の椎骨動脈よりもずっとよく発達している。 そのため、大きい方の椎骨動脈が閉鎖すると重大な結果を招くことがある。 脳底動脈は橋底面の正中部にある脳底溝の中を吻側に走り、鞍背のレベルで2本の終枝、すなわち後大脳動脈に分岐する。 後大脳動脈と後交通動脈との吻合によってウィリスの動脈輪が閉じる。 脳底動脈の完全あるいは部分的な血栓により、筋緊張の急激な消失、対光反射と関係のない瞳孔の散大または縮小、両側性のBabinski反応の出現が起こる。 神経系の障害は、通常両側性であるが、非対称性で、ある程度症状に変動を示すこともある。 12: Vertebral artery 椎骨動脈 Arteria vertebralis 椎骨動脈(VA)は鎖骨下動脈から最初に出る枝であり、前斜角筋の後面に沿って上行し、6番目の頚椎(ときには5番目の頚椎)の横突孔を通って上行するが、そのさい、椎間孔から出てくる脊髄神経の腹側方に位置する。 やがて、椎骨動脈は外側方に曲がり、孔環椎後頭膜を貫通し、大後頭孔を通り、硬膜を貫いて後頭蓋窩にはいる。 頭蓋窩にはいる少し前に椎骨動脈が示す弯曲は「予備」のループであって、頭部の運動時に動脈に張力が加わるのを防いでいる。 橋の下縁のレベルで、両側の椎骨動脈が1本になって脳底動脈が形成される。 形態学的にみて椎骨動脈と内頚動脈はよく似ている。 すなわち、外形動脈を分枝する以外には重要な枝を出さずに両者とも垂直に上行する。 また、両者ともに特徴的な曲がりくねったコース(「頚動脈サイフォン」、「椎骨動脈サイフォン」)をとって脳底に達する。 両者の主な差異は、左右の椎骨動脈が合して1本の脳底動脈になるのに対して、内頚動脈の方は左右のものがそれぞれ独立に走る点である。 しかし、流体力学的に見ると、左右の椎骨動脈から脳底動脈に流入する血液は混合することはなく、左側椎骨動脈からの血液は脳幹の左側を流れ、右側椎骨動脈からの血液は脳幹の右側を流れる。 椎骨動脈は頭蓋腔内に入ったのちに、延髄と橋のあたりで左右のものが合流して、無対性の脳底動脈にある。 したがって、動脈硬化症などで鎖骨下動脈が椎骨動脈起始部よりも内側(心臓寄り)で閉塞すると、健側の椎骨動脈内の血流が脳底動脈を介して患側の椎骨動脈の方に逆流して、患側上肢への側副循環路collateral pathwayになり得る。 その結果として、脳底動脈そのものの働きが不十分になるので、患側の上肢を動かすとめまいや一過性の失明、あるいは失神発作などの症状を起こすことがある。 これを鎖骨下動脈盗血症候群subcalvian steal syndrome(椎骨動脈逆流症候群)という。 13: Posterior inferior cerebellar artery 後下小脳動脈[PICA] A. inferior posterior cerebelli 後下小脳動脈は椎骨動脈から分枝し、延髄の表面に沿って前外側方向に走るが、その途中で延髄の背外側領域に分布するため穿通する細い枝を出す。 この延髄の後オリーブ領域には、脊髄視床路、三叉神経脊髄路核と三叉神経脊髄路、疑核、運動性迷走神経背側核とこの核に出入りする線維、および下小脳脚の腹側部分などが存在する。 また延髄と橋のこの領域内には、視床下部からの自律神経線維も下行する。 次いで、小脳下面を上方(背側)へ弯曲して走り、虫部の下部(虫部垂と虫部小節)、小脳扁桃、小脳半球の下外側面に分布する枝を出す。 またこの動脈の内側枝は第四脳室脈絡叢にも分布する。 後下小脳動脈の血栓による閉塞は延髄に起こりやすい。 この場合には延髄外側部を侵す。 ここには三叉神経核、蝸牛神経核、前庭神経核、疑核、迷走神経核、孤束核があり、また中枢交感神経路、前脊髄神経路、外側脊髄視床路が通るために、特徴的な症状が起こる。 後下小脳動脈または延髄の後外側部の損傷として、外側延髄症候群lateral medullary syndromeが起こる。 14: Posterior spinal artery 後脊髄動脈 A. spinalis posterior 後脊髄動脈は薄束と薄束核、楔状束と楔状束核、下小脳脚の尾側部と背側部に分布する。 もし後脊髄動脈が小さいか、または欠如するときには、この領域には後下小脳動脈が分布することが多い。 15: Anterior spinal artery 前脊髄動脈 A. spinalis anterior 左右の前脊髄動脈は合流して1本となって正中を下行する動脈となる。 この前脊髄動脈が、前正中裂を下行するとき延髄下部で内部へ入る正中枝を出し、また脊髄の前正中裂から内部に入る溝枝を出す。 前脊髄動脈は、前根動脈から分岐した吻合枝によって連絡している。 この前根動脈の吻合枝は、ゆるやかに上行すると枝と急角度で下行する枝によって前脊髄動脈と結合する。 その結果、脊髄の同じ高さの2本の前根動脈からの吻合枝は、菱形を示す動脈形態をとって結合する。 胸髄にある前脊髄動脈は細い。 この上部や下部にある前脊髄動脈は細い、この上部や下部にある前根動脈は細い。 この上部や下部にある前根動脈が閉鎖すると、十分目的にかなう吻合としての働きをしない。 脊髄円錐を取り込んでいる動脈輪は、前脊髄動脈の尾側端の部位と交通している。 前脊髄円錐を取り囲んでいる動脈輪は前脊髄動脈の尾側端野部位と交通している。 前脊髄動脈と後脊髄動脈は脊髄の全長にわたって根動脈からの枝を受ける吻合動脈でもある。 椎骨動脈の枝が、実際上ほとんど頚髄全体に血液を供給している。 前脊髄動脈は錐体、内側毛帯、内側縦束、舌下神経核の大部分、孤束核と迷走神経背側核(運動核)の尾側領域、内側副オリーブ核などがある延髄の傍正中領域に血液を送る。 片側の前脊髄動脈が閉塞すると、延髄の損傷にともない下交代性片麻痺が起こる。 これは舌の同側性麻痺と対側性麻痺を特徴とする。 またこのような損傷は、たびたび内側毛帯も含むので対側の知覚欠損も起こる。 16: Anterior inferior cerebellar artery 前下小脳動脈[AICA] A. inferior anterior cerebelli 前下小脳動脈は脳底動脈の尾側部から分岐する大きな動脈で、橋被蓋の尾側部に分布した後、尾方に走ってから外側に向かい小脳下面に至る。 この動脈は虫部錐体、虫部隆起、片葉、小脳半球の下面の一部に分布する。 また深部に穿通する枝は、歯状核の部分とその周囲の白質に分布する。 おの前下小脳動脈の枝には、第四脳室脈絡叢に分布するものもある。 17: Labyrinthine artery 迷路動脈 A. labyrinthi 迷路動脈は脳幹には分布しないで外側方向に向かい内耳道を通り内耳に達する。 18: Posterior communicating artery 後交通動脈[Pcomm] A. communicans posterior 後交通動脈は内頚動脈から起こり、視床、大脳脚、脚間部、海馬回に分布する。 後大脳動脈と吻合し大脳動脈輪をつくる。 19:Olfactory bulb 嗅球 Bulbus olfactorius 嗅球は鼻腔の嗅上皮細胞からおこる20数本の無髄線維の束が終止する部分をいう。 嗅球はヒトにおいて退化の傾向を示す構造物であるが、基本的には下等動物におけると同様の層構造を示す。 すなわち、最表層は嗅神経の嗅神経線維層で、嗅球に入った嗅神経の軸索から成る。 その深部には糸球層があり、ここで嗅神経の終末は僧帽神経の樹状突起と複雑にからみあってほぼ円形をなす嗅糸球を形成する。 最深部にはほぼ1層にならぶ僧帽細胞の層がある。 なお、嗅糸球の間には介在神経(糸球周囲細胞periglomerular neurons があり、ドパミンを含むと言われている。 20:Optic chiasm 視神経交叉;視交叉 Chiasma opticum 視神経交叉は視床下部の漏斗の吻側にある扁平な線維板で、X形を呈する。 視交叉の背側から両側に開いて出る線維束は視索である。 第三脳室の終板と灰白隆起の間で視交叉は第三脳室の底の一部を成す(視交叉陥凹)。 視交叉はその上面で(終板の前方)前交連動脈と接し、下面はトルコ鞍の鞍隔膜の上に乗っている。 眼球網膜の鼻側半からの線維は交叉して対側へ行き、側頭半からの線維は同側を交叉せずに後方へすすむ。 下垂体前葉から発生する腫瘍が視交叉を圧迫することがある。 21:Optic tract 視索 Tractus opticus 視索は視交叉と外側膝状体の間の視覚路で左右の視索は視床下部と大脳脚基底部を回って後外方へ走る。 これらの線維の多くは外側膝状体の中に終止するが、小部分は下丘腕となって上丘および視蓋前域にまで続く。 外側膝状体からは膝状体鳥距路が起こり、これが視覚路の最後の中継路をなす。 視索前域は対光反射と関係し、上丘は眼と頭の反射運動よよち視覚刺激を追跡することと関係している。 網膜視床下部線維は、両側性に視床下部の視神経交叉上核に終止する。 この網膜からの直接の投射は、機能的には神経内分泌調節と関連している。 22:Infundibulum of pituitary gland 下垂体の漏斗 Infundibulum 下垂体の漏斗は視床下部の腹側方の突出部とその中にある第三脳室の陥凹によって形成される。 漏斗の最も遠位に突出した部分が下垂体後葉(神経下垂体)であり、漏斗の突出部と正中隆起を結合する組織は漏斗柄とよばれる。 23:Mammillary body 乳頭体 Corpus mammillare 乳頭体は有髄線維を豊富に含み、視床下部の乳頭隆起で内側および外側乳頭体核より成る。 脚間窩に突出している左右1対の半球状の隆起、脳弓から海馬足の主要線維束を受け、視床前核と脳幹被蓋部とに線維を出す。 内側乳頭体核は外側乳頭体核より大きいが、そのニューロンは比較的小さく、有髄線維のカプセルに包まれている。 外側乳頭体核はずっと小さくて、「とくにヒトでは、見分けるのがむずかしい。 」そのニューロンは内側乳頭体核のものよりも大きく、染色されやすい。 乳頭体への入力線維は、海馬支脚(交連後部脳弓を介して)、視床下部腹内側核、中脳(乳頭体脚を介して)、などからくる。 脳弓の線維数は非常に多い。 脳弓線維は内側乳頭体核に終止するが、中には乳頭体を通り越して中脳被蓋ないし中心灰白質でシナプス結合するものもある。 中脳から乳頭体への入力線維は、中脳中心灰白質および中脳網様体にある楔状核から起こり、乳頭体脚を通ってくる。 乳頭体からの出力線維は大脳辺縁系の重要な要素である。 内側乳頭体核から出る線維は明瞭な上行性線維束である主乳頭体束を作り、これは吻背側方へ向かう乳頭体視床路と、尾側方へ向かうこれよりも小さい乳頭体被蓋束に分かれる。 乳頭体視床路線維は主として内側乳頭体核より起こり、視床前核群でシナプス結合する。 視床前核は帯状回でシナプス結合する線維を出す。 乳頭体被蓋束の出力線維は内側乳頭体の背側部より起こり、中脳被蓋でシナプス結合する。 24:Basilar part of pons 橋底部;橋底;橋腹側部 Pars basilaris pontis 橋底部は橋の腹側部で、主に大脳、橋および小脳の伝導路よりなる部分。 この部分は規則正しく配列する横走および縦走線維束とその間に散在する橋核よりなる。 皮質脊髄路は橋底部を通り、矢状断切片では延髄錐体まで追跡することができる。 皮質橋核路は大脳半球の前頭葉、頭頂葉、後頭葉および側頭葉から起こり、交叉せずに下行して橋核に終わる。 橋核は皮質脊髄路および皮質橋路繊維の周囲に散在し、ここから横橋線維が起こり、下行路線維の背側または腹側を通り、正中線で交叉したのち中小脳脚となって小脳に至る。 したがって橋底部は大脳皮質からの神経インパルスを対側の小脳半球部に伝える2ニューロン伝導路の大きな中継核と考えることができる。 橋底部を下行する皮質延髄路線維は、橋被蓋に投射する。 25:Motor root of trigeminal nerve 三叉神経の運動根 Radix motoria 三叉神経の運動根は三叉神経の小根で、三叉神経運動核から出ている線維からなる。 大きい知覚根の内側に位置して、橋から出て下顎神経に接続し咀嚼筋へ運動と固有受容の線維を送る。 すなわち第一鰓弓に由来する筋で4種の咀嚼筋、おとがい舌骨筋、顎二腹筋の前腹、鼓膜張筋および口蓋帆張筋である。 26:Sensory root of trigeminal nerve 三叉神経の知覚根;三叉神経の感覚根 Radix sensoria 三叉神経の知覚根は体性感覚線維で三叉神経の大部に相当し、橋に入り、三叉神経主感覚核と三叉神経脊髄路核に分布する。 27:Abducent nerve; Abducens nerve [VI] 外転神経;第六脳神経 Nervus abducens [VI] 外転神経は第六脳神経である。 外側直筋に至る鈍体性運動性神経で、その起始核たる外転神経核は橋の中にあり、これから出る神経は橋の後縁で正中線に近く表面に現れ、内頚動脈の外側を通って上眼窩裂から眼窩に入り、外側直筋の内側からそのなかに入る。 28:Facial nerve [VII] 顔面神経;第七脳神経 Nervus facialis [VII] 顔面神経は第七脳神経である。 狭義の顔面神経と中間神経とを合わせたもので、混合神経である。 その主部をなす狭義の顔面神経は運動神経で、起始核たる顔面神経核は延髄上部から橋背部にかけてあり、これから出る神経は橋の後縁で脳を去り、内耳神経とともに内耳道に入り、その底で内耳神経と分かれ、内耳神経と分かれ、顔面神経管孔を経て顔面神経管に入り、間もなく殆ど直角をなして後外側に曲がる。 この曲がるところは鼓室前庭窓の後上で顔面神経膝といい、ここに膝神経節がある。 ついで弓状に後下方へ走り、茎乳突孔を通って頭蓋底外面に出て耳下腺中に入り、耳下腺神経叢を作った後、つぎつぎに多くの枝を出して広頸筋およびこれから分化したすべての浅頭筋(表情筋)、茎突舌骨筋、顎二腹筋後腹、アブミ骨筋などに分布する。 以上の運動神経線維とは別に、膝神経節中の神経細胞から出る味覚神経線維が集まって、舌下腺および顎下腺に至る副交感性の分泌線維とともに中間神経を作り、広義の顔面神経の一部をなす。 膝神経節細胞は偽単極性で、神経細胞より出る一条の突起はただちに分かれて、末梢および中枢の2枝となる。 中枢枝は顔面神経に密接しつつ内耳道を経て脳に入って孤束核に終わり、末梢枝は、いわゆる上唾液核から出て舌下腺、顎下腺に至る副交感性の分泌腺にとともにいわゆる鼓索神経を作り、途中で再び分泌線維と分かれて舌神経に入り、舌体に分布して味覚を司る。 29:Vestibulocochlear nerve [VIII] 内耳神経;前庭蝸牛神経;第八脳神経 Nervus vestibulocochlearis [VIII] 内耳神経は内耳に分布する知覚神経で、その終止核は延髄および橋背部にある。 2根、すなわち上根(前庭根)と下根(蝸牛根)とをもって、橋の下縁で顔面神経の外側において脳を去り、合して半月状の断面をなして顔面神経を外側から包んで内耳道に入り、ここで上根は前庭神経に、下根は蝸牛神経に移行する。 30:Middle cerebellar peduncle 中小脳脚;橋腕 Pedunculus cerebellaris medius 中小脳脚(橋腕)は3対ある小脳脚のうち最大のもので、主として橋核から起始する線維からなり、橋底の正中線を越えて対側の背側に移り太い束となって橋被蓋の外側を乗り越えて小脳にはいる。 少数の対側へ移らない線維もある。 少数の側副線維が小脳核に達している以外ほとんどが橋小脳路線維からできている。 31:Pyramid of medulla 錐体;延髄錐体;錐体球 Pyramis medullae oblongatae; Pyramis bulbi 延髄錐体は前正中裂両側にある隆起。 第一脊髄神経根を越え、錐体交叉で終わる。 皮質脊髄路が通る。 皮質脊髄路は延髄下端で、外側皮質脊髄路と前皮質脊髄路に分かれる。 虫部結節と連絡しており、これらの2つの構造は小脳前庭部を構成する。 長さ約1. 5cm。 オリーブ核によってできた膨隆である。 34:Vagus nerve [X] 迷走神経;第十脳神経 Nervus vagus [X] 迷走神経は第10脳神経で、上方の舌咽神経、下方の副神経の間で延髄の外側から多数の小根によって起こる混合神経で胸腹部の諸内臓に分布する副交感神経節前神経線維(延髄迷走神経背側核に細胞体をもつニューロンの神経突起)を主成分としている。 これらの線維が胸腹部を走行するあいだに、きわめてしばしば自律神経叢を形成してどこに神経の本幹が存在するか不明瞭となるため、迷走神経の名がつけられた。 また迷走神経には胸腹部の内臓の知覚を伝える神経線維(その細胞体は迷走神経の下神経節内に存在する)、咽頭下部および後頭の筋への運動線維(延髄疑核に発し、咽頭に分布するものは舌咽神経からの枝とともに咽頭壁において咽頭神経叢を形成したのち筋に分布する)、咽頭下部および後頭の粘膜への知覚神経線維、などが含まれる。 後頭に分布する運動および知覚神経線維は下神経節の直下で後頭に向かう上喉頭神経となるか、あるいは胸腔内で迷走神経本幹から下喉頭神経として分かれて頚部を反回神経として上行するかして目的の器官に達する。 35:Cranial root of accessory nerve; Vagal part of accessory nerve 副神経の延髄根 Radix cranialis; Pars vagalis 副神経は明瞭な延髄根と脊髄根に分けられる。 副神経の延髄根は疑核の最尾側部の細胞より出る。 これらの細胞の軸索は迷走神経の根線維の下方で、延髄外側面を出る。 副神経延髄根の線維は迷走神経といっしょになって下喉頭(反回)神経を作り、喉頭内筋を支配する。 副神経延髄根の構成成分は鰓分節筋を支配するから、特殊内臓遠心性special visceral efferent SVE 成分とされる。 36:Spinal root of accessory nerv; Spinal part of accessory nerv 副神経の脊髄根 Radix spinalis; Pars spinalis 副神経の脊髄根は第1から第5(又は第6頚髄前角の細胞柱より起こる。 この細胞から出た根線維には後外側方に弧を描き、脊髄外側面を後根と前根の間から出る。 副神経脊髄根の各根線維は集まって1本の神経幹となり歯状靱帯の後方を上行し、大(後頭)孔を通って頭蓋腔に入り、最後は頚静脈孔を通って迷走神経、舌咽神経と共に頭蓋から外に出る。 副神経脊髄根の線維は同側の胸鎖乳突筋と僧帽筋の上部を支配する。 1側の胸鎖乳突筋の収縮は頭を反対側に向けるが、1側の副神経脊髄根の損傷は通常頭部の位置になんら異常を起こさない。 しかし、外力に逆らって反対側に頭部を向ける力は著明に弱くなる。 僧帽筋上部の麻痺は次の症状でわかる。 虫部錐体に相応する。 38:Hypoglossal nerve [XII] 舌下神経;第十二脳神経 Nervus hypoglossus [XII] 舌下神経は第12脳神経である。 舌筋に分布する鈍運動神経で、その起始核である舌下神経核は延髄の下部にあり、これから出る神経は10~15の線維束に分かれて延髄の前オリーブ溝から出て、後頭骨の舌下神経管内で一幹となってこの管をでる。 初めは迷走神経および内頚静脈の後外側にあるが、ついでその後をめぐって迷走神経の外側に現れ、つぎに茎突舌骨筋および顎二腹筋後腹の内側で弓状をなして前下方にすすみ、舌骨舌筋の外側に至って多くの枝、すなわち舌筋枝に分かれて舌筋に分布する。 39:Tela choroidea of fourth ventricle 第四脳室脈絡組織 Tela choroidea ventriculi quarti 第四脳室脈絡組織は小脳と延髄の間から入り、第四脳室蓋の後部を作る。 全体としては底辺を上方に、頂点を下方に向けた三角形を呈し、底辺は下髄帆および小節に付着し、外側片は左右の第四脳室ヒモに付き、頂点は閂に相当する。 底辺の両端および閂にはそれぞれ1対の第四脳室外層口および1つの第四脳室正中口がある。 第四脳室脈絡組織はその内面から第四脳室に向かって第四脳室脈絡叢を出している。 これは第四脳室正中口にはじまり、正中線に沿って上方に左右1本ずつ走り、小節の付近で左右のものが分かれ、それぞれ外側方に向かい第四脳室外側口に達し、その一部は外側口から出ている。 41:Oculomotor nerve [III] 動眼神経 ;第三脳神経 Nervus oculomotorius [III] 動眼神経の主成分は動眼神経主核から出る体性運動性のもので外側直筋および上斜筋以外の眼筋を支配するが、このほかさらに副交感性の動眼神経副核[Edinger-Westphal核]から出る線維が加わる。 以上の2核から出る線維は多数の根をつくって大脳脚内側溝から出て1神経幹となり、滑車神経、外転神経および眼神経とともに、蝶形骨体の両側にある海綿静脈洞の上壁に沿ってすすみ、上眼窩裂を通って眼窩内に入り、上下の2枝に分かれる。 上枝は上瞼拳筋および上直筋に、下枝は内側直筋、下直筋および下斜筋に分布する。 また下枝からはきわめて短い動眼神経からの根が出て、毛様体神経節に入るが、これは動眼神経副核から出て、下枝を通って毛様体神経節に入る副交感線維にほかならない。 動眼神経を完全に損傷すると、その支配を受ける同側の筋に下部神経麻痺が生じる。 すなわち、眼瞼拳筋麻酔によって眼瞼は完全に下垂する(伏し目になる)。 支配外眼筋の麻痺と外側に転位(外斜視)する。 瞳孔は完全に散大し(散瞳)、瞳孔対光反射およびレンズの調節も消失する。 後2者は症状は内臓性遠心線維の切断によって起こる。 動眼神経と中脳腹側部の皮質脊髄路の線維を損傷すると、同側の動眼神経麻痺と対側の片麻痺を起こすが、これを臨床的にWeber症候群という。 この症候群はまた上追う胎生片麻痺として知られ、外転神経と皮質脊髄路を含む橋の障害(中交代性片麻痺)および舌下神経と錐体を巻き込んだ延髄の障害(下交代性片麻痺)の際に起こる症候群と同様である。 42:Uncus 海馬傍回の鈎 Uncus 海馬傍回の鈎は海馬傍回の前端で、側頭葉底内側面に鈎でかかったようになっているところ。 その前面は嗅皮質に、腹側面は内嗅野(entorhinal area)にそれぞれ相当する。 深部には扁桃体がある。 鈎の損傷によって嗅覚に関する幻覚を生じることがある。 鈎発作uncinate fitといい、てんかん発作に先立つ前兆auraとして起こることがある。 43:Temporal notch 側頭切痕 Incisura temporalis 側頭極から鈎を分ける溝。 44:Distal medial striate artery 内側線条体動脈;遠位内側線条体動脈;長中心動脈;反回動脈 Heubner's recurrent artery A. striata medialis distalis Heubnerの反回動脈ともよばれる。 内側線条体動脈は前交通動脈の近位または遠位部でで分岐し、尾方かつ外側に走った後、前有孔質に入る。 この動脈は尾状核頭の前内側部、内包と被殻に接した部分、中隔核の領域に血液を供給する。 また数本の小さい動脈が、前頭葉下面に分布することも多い。

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