出口はるあき 本。 出口治明の経歴・著書・名言・家族を紹介。還暦からどう生きるか。

出口治明 (でぐち はるあき)|プロフィール・連載・記事|クリエイターと読者をつなぐサイト cakes(ケイクス)

出口はるあき 本

家の前には山があり、周囲には民家が4、5軒しかないような田舎でした。 天気がいい日には4歳年下の弟といっしょに、山に入って昆虫を捕まえたり、池で鮒を釣ったり、木に登って柿を食べたりといった生活をしていました。 たしか幼稚園か小学校のころのことだったと思います。 あるとき、ぼーっと空を見ていたら、急に太陽のことが気になりはじめたのです。 「太陽って、えらいでかいな」 「あんなに大きかったら重そうやな」 「なんで落ちてこないんやろ」 そこで親に尋ねたら、面倒くさかったのか、「これでも読んどき」と、ある本を渡してくれました。 そこには、「石に紐をつけてぐるぐる回してごらんなさい。 落ちてこないでしょう? この紐が引力です。 引力があるから太陽や月は落ちてこないのです」というような説明がありました。 子どもなので、「引力」が何かはわからなかったのですが、たしかに紐に結ばれた石が上方にきても、ぐるぐる回しているかぎり石は下に落ちてはきません。 それで、「あっ、本を読んだらなんでもわかるんだな」と思ったのです。 本のタイトルはよく覚えていないのですが、これが僕の読書の原体験といっていいでしょう。 イラスト:吉田しんこ それからは、暇があったら学校の図書室に本を借りに行くようになりました。 田舎の学校なので、それほど蔵書は多くなかったのですが、小学校、中学校の図書室の本は、ほぼ全部読んだと思います。 本を読めば、知らなかったことがひとつずつわかるようになります。 ひとつわかると、ますます本を読むことが楽しくなりました。 ジャンルは関係なく、図鑑類から文学までなんでも読みあさっていましたね。 ただ、とくに好きだったのは理科系の分野です。 本好きの人は、だいたい小説などの読み物からハマっていく人が多いと思うのですが、僕の場合は、「なんでこうなっているんだろう」という探究心、好奇心が、読書の原動力になっていました。 にもかかわらず、大学は法学部に進学しました。 その理由をひと言で言えば、「自分は勉強したら、普通の人よりちょっとはできるけれど、尖った才能がない」ということが、中学時代、高校時代を通じてわかってしまったからです。 たとえば、僕は成長が早いほうでしたから、小学生のときは体がクラスでいちばん大きく、運動会ではいつもリレーの代表に選ばれていました。 コーナーで他の選手を追い抜いたりすると女生徒が「キャー!」と喜んでくれるので楽しくなり、中学時代は一所懸命、陸上競技をやっていました。 でも、すぐにわかったことは、陸上競技は、明らかに才能の世界だということ。 どんなに練習をしても、記録が伸びないのです。 100m競走でいえば、中学生の終わりごろになっても、11秒台が出ませんでした。 12秒フラットが限界で、それ以上は伸びない。 それでもクラスでは1、2番の速さでしたから、運動会などでは必ずリレーの選手には選ばれるのですが、俗にスプリンターといわれる人は、同世代でも楽々11秒台を出すのです。 つまり、僕の陸上競技の才能は、クラスのなかでは多少目立つものではありましたが、県大会には出られない程度の能力だったのです。 それで、中距離や長距離にもチャレンジしてみました。 ところが、どれもそこそこは走れるのですが、いくらがんばっても県大会に出られるレベルにはなれません。 やっぱり才能がないんだなと思いました。 さらに親が「お金はあらへんで」というので、「じゃあ近くの国立大学の法学部に行こう」と考えました。 大学の学長としては、「将来どんなことをしたいかを真剣に考えて、進学先を選ぶべきです」などと言いたいところではありますが、これが事実なので仕方がありません。 都会から来たクラスメートは、すでにマルクスやヘーゲルを読んでおり、大学の民主化や社会主義革命などについて熱い議論を交わしていました。 ところが僕は理科系の本や文学は読み込んではいたものの、田舎の図書館にはマルクスなど社会科学系の本はあまり置かれておらず、話題に付いていけなかったのです。 「これはひょっとしたら自分は遅れているんじゃないんだろうか」と思い、その手の本を読みあさるとともに、1回生の前期の試験はものすごく勉強をしました。 といっても、僕の勉強法は小学生のころから基本的に「一夜漬け」です。 「一夜漬け」というと、その場しのぎの、試験が終わるとすべてを忘れてしまうようなものと思われるかもしれませんが、そんなことはありません。 僕は、一夜漬けこそがとても効率がよく、覚えたことを忘れない勉強法だと思っています。 僕は、もともと地道に勉強するタイプではありません。 コツコツ勉強していたら、先に学習したことを忘れてしまうのです。 ですから、試験の直前にまとめて勉強することにしました。 というと、「ああ、試験期間は寝ないで勉強して詰め込むんだな」とお思いでしょう。 ところが僕は寝ることが大好きで、ロングスリーパーです。 とてもではないけれど、徹夜してそのまま試験に臨むようなことはできません。 この相矛盾する要請をふたつともに解決するためには、どうすればいいか。 「今夜じゅうに数学のテスト勉強をする」というようなあいまいな取り組み方ではなく、「ここからここまでを3時間で覚える」「この問題集を1時間でマスターする」などと短く区切って考え、決めた時間内に集中して必死で勉強したのです。 また、僕は授業中、あまりノートを取りませんでした。 大事なことはノートに書くのではなく、教科書に書き込んでいたのです。 なぜかというと、そうしておけば、テスト勉強をするときに、書き込み入りの教科書1冊を集中して読めば足りるからです。 もしノートが別になっていれば、2冊読まなければなりません。 それでは非効率だと考えたので、こういうスタイルにしたのです。 いま思うと、この勉強法のおかげで自然と集中力が身に付き、物事を合理的に処理することを覚えたのかもしれません。 『脳は睡眠中に、情報をさまざまな形で組み合わせ、整合性をテストし、過去の記憶を「整理」してゆきます。 (中略)寝ることは、覚えたことをしっかりと保つための大切な行為なのです。 「テスト直前しか勉強しない。 毎回徹夜だ」という人がいますが、睡眠を削ってしまっては、学力が積み上がっていくはずがありません。 いま僕は新たな職(学長)に就き、とても忙しくなったので、週に2~3冊くらいしか本を読めなくなったのですが、読むときにラインを引いたり、付箋を立てたりはしていません。 そのかわり、理解できるまで読み込んでいます。 それだけで、「どのあたりに、どういうことが書かれていたか」を話すことができます。 さて、大学の試験の話に戻りましょう。 1回生の前期はきちんと勉強したおかげでいい成績が取れました。 これを継続できていたら僕の人生も変わっていたかもしれませんが、生来の怠け癖が出てしまいます。 「なんや、大学って、別にたいしたことないんやな、高校と同じやな」と思い、講義を受けてはみたけれど、「これ、おもろないな」と思ったものは出席もせず、いいかげんに流していました。 中学や高校でも、クラスに何人かは、常にどんな科目でもまじめに勉強して成績がいい人っていますね。 そういう人は大学でも全部の授業に出て、せっせと勉強をする。 でも、僕は好き嫌いが激しかったのです。 好きな科目は「優」をもらいましたが、当然、「良」も「可」もいっぱいありました。 でも、落第さえしなければいい、と思っていたのです。 4回生になりゼミで発表したとき、担当の教授から「いい発表だったから大学に残らないか」といわれましたが、成績が悪すぎて話が立ち消えになったことは、連載の第1回目に書いたとおりです。 第6回は9月10 日に公開する予定です。 プロフィール 出口治明 でぐち・はるあき 1948年、三重県美杉村(現・津市)生まれ。 京都大学法学部を卒業後、1972年日本生命保険相互会社に入社。 企画部などで経営企画を担当。 生命保険協会の初代財務企画専門委員長として、金融制度改革・保険業法の改正に従事する。 ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを歴任したのち、同社を退職。 2008年ライフネット生命保険株式会社を開業、代表取締役社長に就任。 2013年に同社代表取締役会長となったのち退任(2017年)。 この間、東京大学総長室アドバイザー(2005年)、早稲田大学大学院講師(2007年)、慶應義塾大学講師(2010年)を務める。 2018年1月、日本初の国際公慕により立命館アジア太平洋大学(APU)学長に就任。

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出口治明の「死ぬまで勉強」 第5回 出口流・最強の勉強法

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(写真=ZUU online) ライフネット生命保険を設立し、ネット生命保険という新市場を切り開いた出口治明氏。 働き方改革が叫ばれるなか、自身も経営者として活躍する同氏に、生産性を向上させる働き方について聞く。 ——現在の世界経済や日本経済をどのようにお考えでしょうか。 先日、OECDが発表した最新のグローバルアウトルックを見ても、2017年の世界全体の成長率が3. 色々と問題を抱えているイメージのあるユーロ圏でも1. それに対し日本は1. 先進国のなかで一番しんどいのは日本だと思いますね。 日欧米という3つの先進地域のなかで最も経済成長率が低いわけですから。 でも日本は、世界で一番高齢化が進んでいるので、本来は一番成長しなければいけない国です。 ——高齢化が進んでいるから成長しないといけない、とはどういうことでしょうか? 高齢化が進むということは、年々、医療や介護、年金の負担が大きくなるということですから、その分新たに稼がなければ国は貧しくなります。 つまり、少子高齢化が進んだ国ほど、生産性を上げて成長しないと、出ていくお金を補えないのです。 日欧米を比較すると、労働力人口が増えている米国が一番成長している。 日本より少子高齢化が穏やかなユーロ圏も1. そのなかで日本が1. 高齢化が一番進んでいるということは、一番成長しなければ徐々に貧しくなっていくしかないということです。 ——日本の成長を加速させるためには何が必要でしょうか。 人口が増えないわけですから、重要なことは「生産性向上」です。 働き方改革と言い換えても良いかもしれません。 日本は2000時間働いて、夏休みは1週間で成長率は1. ユーロ圏は1500時間働いて、夏休みは1ヶ月で1. どっちがいいですかっていう話ですよね。 なぜ長時間働いているのに成長率が低いか。 それは世の中が製造業主体の工場モデルからサービス業主体の経済に移行しているのに、働き方だけは「サービス業モデル」にシフトせず、「製造業の工場モデル」に合った働き方を続けているからです。 言ってみれば、サッカーの試合をするのに、素振り(野球)の練習を延々やっているようなイメージです。 それは骨折り損のくたびれ儲けになりますよね。 ——「サービス産業モデル」と「製造業モデル」はどのように異なるのでしょうか。 「製造業モデル」は「工場モデル」でもあり、要は長時間労働です。 朝早くから夜遅くまで働いたら、その間ベルトコンベアーを稼働し続けることができるでしょう。 だから長時間労働は、工場モデル(製造業経済)には向いてるんですよ。 高度成長の時代は工場モデルの働き方がむしろ合理的でした。 でも現在、日本のGDPの約7割はサービス業です。 サービス産業はアイデア勝負です。 朝8時から夜10時まで長時間働いていいアイデアが出ると思いますか。 脳が疲れるでしょう。 ベルトコンベアーの前で単純作業するだけだったら対応できるかもしれませんが、サービス経済主体の現在は、むしろ早く退社し、色々な経験を積んで発想力や柔軟性を養うことが大切です。 ——どのようなことから経験を積めばよいのでしょうか。 僕は「人・本・旅」と言っています。 たくさんの人に会ったり、たくさん本を読んだり、たくさんの場所を訪れたりして、脳に刺激を与えなければ、良いアイデアは生まれないと思います。 「メシ・フロ・寝ル」の長時間労働から「人・本・旅」の集中短時間労働でアイデアを出さなければ経済が成長しない段階にきているわけです。 働き方改革を行い、長時間労働を是正して生産性を上げなければいけない。 生産性を上げるということは、自分の頭で考えて5時間の仕事を3時間で済ませるように工夫するということですから、人が成長するということです。 そのためにも働き方改革は不可欠だと思います。 ——政府主導でプレミアムフライデーも始まりました。 素晴らしい取り組みだと思います。 生産性向上とともに、消費喚起も期待できると思います。 当社(ライフネット生命)もできる限り、働き方改革を進めたいと思っています。 2013年8月からNO残業デーを開始していますし、仕事と育児を両立しやすいようフレックス制も導入しています。 ——そして浮いた時間を「人・本・旅」に充てると。 人に関しては、ご縁があったら行ってみるのが一番ですよね。 誘われたまず行ってみる。 新聞とか雑誌とかを読んでて、面白そうな講演会があったらまず行ってみる。 しょうもなかったら帰ればいいだけですから。 ただ、どこにどんな良い出逢いがあるか分からない。 ご縁があったらまずイエスです。 「どうやったら良い本と巡り逢いますか?」という質問を頂くことが多いのですが、間違いないのは古典と新聞の書評です。 新聞の書評欄で本を選んで、失敗だったと思ったのはこの10年皆無ですね。 それ以上に間違いないのが古典。 古典はすべからく良書です。 旅は「現場を知る」ということでもあります。 若手はもちろん、役職があがっても役員室や社長室にこもるのではなく、現場に足を運ぶべきです。 もちろんプライベートの旅でもいいですよ。 行きたい!と思ったときに行くのが一番ですね。 興味があるお店や場所があっても、そのときに行かなければ忘れちゃうんですよ。 いつか行こうと思っていても。 ——最後に御覧頂いている読者へメッセージをお願いします。 たくさんの人に会い、たくさん本を読み、たくさん旅に出て下さい。 そして好きなことを極める。 興味のあることを極める。 興味のないことは身につかないでしょう。 なんでもいいのです。 何が仕事に役立つかは誰にもわからない。 自分が興味を持ったものを「人・本・旅」で勉強していけば、少なくとも興味を持ったものは身につくでしょう。 偉大なリーダーは皆さん異口同音に言っていますが、イノベーションやアイデアは、自分の仕事を深堀りするだけでは生まれないんですよ。 色々な世界や色々な人の話を知っていると、あるとき、それらが結びついてイノベーションが生まれるんですよ。 自分の仕事を深堀りするのは、それはそれで素晴らしいことですが、24時間ずっと会社で仕事をしていても、イノベーションは生まれないので「人・本・旅」で広い世界を知って欲しいですね。 出口治明(でぐち・はるあき) 1948年、三重県生まれ。 ライフネット生命保険株式会社代表取締役会長。 京都大学法学部を卒業後、日本生命に入社。 ロンドン現地法人社長、国際業務部長など経て同社を退職。 早稲田大学大学院講師などを経て、2008年5月にライフネット生命を開業。 2012年3月15日に東証マザーズ上場。

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「生産性向上へ『人・本・旅』のススメ」出口治明(ライフネット生命会長)

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出口治明 [立命館アジア太平洋大学(APU)学長]• 哲学と宗教全史 脳研究者で東京大学教授の池谷裕二氏が絶賛! 小説家の宮部みゆき氏が推薦! 直木賞作家で作詞家のなかにし礼さんが激賞! 某有名書店員が「100年残る王道の1冊」「2019年で一番の本」と断言した。 「読者が選ぶビジネス書グランプリ2020」では総合グランプリ第6位、リベラルアーツ部門第2位となった。 世界1200都市を訪れ、1万冊超を読破した現代の知の巨人、稀代の読書家・出口治明APU(立命館アジア太平洋大学)学長の大著が、「2400円+税」と高額本にもかかわらず7万部を突破。 BC1000年前後に生まれた世界最古の宗教家・ゾロアスター、BC624年頃に生まれた世界最古の哲学者・タレスから現代のレヴィ=ストロースまで、哲学者・宗教家の肖像100点以上を用いて、世界史を背骨に日本人が最も苦手とする「哲学と宗教の」全史を初めて体系的に解説。 巻頭・巻末には古代ギリシャから現代まで、3000年に及ぶ哲学者・宗教家の人物相関図(カラージャバラ)付き。 なぜ、今、哲学だけではなく、宗教を同時に学ぶ必要があるのか? 出口治明氏を直撃した。 歴史への造詣が深いことから、京都大学の「国際人のグローバル・リテラシー」特別講義では世界史の講義を受け持った。 その出口学長が、3年をかけて書き上げた大著が、大手書店のベストセラーとなり、話題となっている。 BC1000年前後に生まれた世界最古の宗教家・ゾロアスター、BC624年頃に生まれた世界最古の哲学者・タレスから現代のレヴィ=ストロースまで、哲学者・宗教家の肖像100点以上を用いて、世界史を背骨に、日本人が最も苦手とする「哲学と宗教」の全史を初めて体系的に解説した本だ。 なぜ、今、哲学だけではなく、宗教を同時に学ぶ必要があるのか? 直木賞作家・作詞家のなかにし礼さんが激賞、脳研究者で東京大学教授の池谷裕二氏が絶賛、小説家の宮部みゆき氏が推薦、某有名書店員が「100年残る王道の1冊」「2019年で一番の本」と断言したが、2400円+税という高額本にもかかわらず8万部を突破。 「読者が選ぶビジネス書グランプリ2020」では総合グランプリ第6位、リベラルアーツ部門第2位となった。 「日経新聞」「日経MJ」「朝日新聞」「読売新聞」「北海道新聞」「中国新聞」「京都新聞」「神戸新聞」「中日新聞」で大きく掲載。 今回も、昨年8月に行われた出口氏の出版講演会終了後に行われた質疑応答の模様をお送りしよう。 出口治明(でぐち・はるあき) 立命館アジア太平洋大学(APU)学長 1948年、三重県美杉村生まれ。 京都大学法学部を卒業後、1972年、日本生命保険相互会社入社。 企画部や財務企画部にて経営企画を担当する。 ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを経て2006年に退職。 同年、ネットライフ企画株式会社を設立し、代表取締役社長に就任。 2008年4月、生命保険業免許取得に伴いライフネット生命保険株式会社に社名を変更。 2012年、上場。 社長、会長を10年務めた後、2018年より現職。 訪れた世界の都市は1200以上、読んだ本は1万冊超。 歴史への造詣が深いことから、京都大学の「国際人のグローバル・リテラシー」特別講義では世界史の講義を受け持った。 おもな著書に『生命保険入門 新版』(岩波書店)、『仕事に効く教養としての「世界史」I・II』(祥伝社)、『全世界史(上)(下)』『「働き方」の教科書』(以上、新潮社)、『人生を面白くする 本物の教養』(幻冬舎新書)、『人類5000年史I・II』(ちくま新書)、『0から学ぶ「日本史」講義 古代篇、中世篇』(文藝春秋)など多数。 出口:次の方、どうぞ。 男性:の帯にはこうあります。 「世界史を背骨に日本人が最も苦手とする『哲学と宗教』を現代の巨人が初めて解説!」 出口:それは、この本の担当編集者の寺田さんが書かれたのではないでしょうか(笑)。 男性:まったくそのとおりだなと思いました。 世界の人たちは哲学や宗教をしっかり勉強しているのでしょうが、私たち日本人は義務教育でもほとんど勉強する機会がありませんね。 出口:実は、哲学と宗教だけではなく、ほかの大切な学問もきちんと教えられてはいないのです。 男性:なぜ、哲学と宗教は、日本の義務教育でしっかり教えられないのでしょうか。 出口:世界中で義務教育の内容自体はそんなに変わりません。 どこで差がつくと思いますか? まず1つは 大学です。 なぜ大学のときに差がつくかといえば、日本以外の先進国の大学では、大学時代の成績が悪かったら就職できないからです。 だから必死に勉強する。 でも、日本は大学の成績が悪くても就職できてしまう。 これは100%企業側が悪いと思いますが、採用基準に大学の成績が入っていないケースが多いので、学生が勉強しない。 これは当たり前です。 今のように面接だけの印象で採用していたら、どんな大学生が生まれるでしょうか。 「エントリーシートを書くためにボランティアを一つぐらいやらないといけない」などという大学生が再生産されるだけです。 そんな心構えでボランティアをやられたらたまったものではありませんが、企業側の採用基準自体を改善しないと絶対に学生は変わりません。 勉強させるには、 成績採用に変えなくてはいけない。

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