いみじう 現代仮名遣い。 【中学国語古文】歴史的仮名遣いを現代仮名遣いにするルール・練習問題

現代仮名遣い

いみじう 現代仮名遣い

古典について教えてください。 源氏物語 若紫 本文 尼君、髪をかきなでつつ、尼君『けづることをうるさがり給へど、をかしの 1 御髪や。 いとはかなうものし給ふこそ、あはれにうしろめたけれ。 2 かばかりになれば、いとかからぬ人もあるものを。 故姫君は、十ばかりにて殿におくれ給ひしほど、いみじうものは思ひ知り給へりしぞかし。 ただ今おのれ見捨て奉らば、いかで世におはせむとすらむ。 』とて、 3 いみじく泣くを見給ふも、すずろに悲し。 幼心地にも、さすがにうちまもりて、伏し目になりてうつぶしたるに、こぼれかかりたる髪、つやつやと 4 めでたう見ゆ。 A 5 生ひ立たむありかも知らぬ 若草をおくらす露ぞ消えむそらなき B初草の生ひゆく末も知らぬ間に いかでか露の消えむとすらむ と聞こゆるほどに、僧都あなたより来て、僧都『こなたはあらはにや侍らむ。 今日しも端におはしましけるかな。 この上の聖の方に、源氏の中将のわらは病みまじなひに 6 ものし給ひけるを、ただ今なむ 7 聞きつけ侍る。 いまじう忍び給ひければ、知り侍らながら御とぶらひにもまうでざりける。 』とのたまへば、尼君『あないみじや。 いとあやしきさまを人や見つらむ。 』とて、簾下ろしつ またゐたる大人、げにとうち泣きて、 1、 本文中の 1 の『御髪』の読みを現代仮名遣いで答えてください 2、 2 の『かばかりになれば、いとかからぬ人もあるものを』の意味として当てはまるものを1つ選んでください 1、これほどの年になればもっと髪の長くきれいな人もいるのに 2、これほどの年であれば、ひどく幼くふるまう人もいるのに 3、これほどの年であれば、たいそう和歌の上手な人もいるのに 4、これほどの年になれば、とてもしっかりした人もいるのに 3、 3 の『いみじう』、 4 の『めでたう』は音便になっている。 それぞれの元の形を答えてください。 よろしくお願いします 投稿日時 - 2014-10-24 04:20:36 1、 本文中の 1 の『御髪』の読みを現代仮名遣いで答えてください A=みぐし 2、 2 の『かばかりになれば、いとかからぬ人もあるものを』の意味として当てはまるものを1つ選んでください 1、これほどの年になればもっと髪の長くきれいな人もいるのに 2、これほどの年であれば、ひどく幼くふるまう人もいるのに 3、これほどの年であれば、たいそう和歌の上手な人もいるのに 4、これほどの年になれば、とてもしっかりした人もいるのに A=4 *「故姫君は、十ばかりにて殿におくれ給ひしほど、いみじうものは思ひ知り給へりしぞかし。 」の部分がヒントです。 答えやヒントは前後の1~3行ほどの部分にあることが多いです。 3、 3 の『いみじう』、 4 の『めでたう』は音便になっている。 それぞれの元の形を答えてください。 A=『いみじう』=いみじく 『めでたう』=めでたく *音便は、動詞・形容詞・形容動詞(以上用言)に起こります。 それも、イ音便・ウ音便・促音便は、語尾が連用形の時に起こります。 撥音便はラ変動詞・形容詞補助活用・ナリ活用形容動詞の場合には語尾が連体形の場合になります。 ただし、バ行四段・マ行四段・ラ行四段・ナ変の場合には語尾が連用形の場合に撥音便になります。 (以上が音便の原則ですが、上記の条件の中にある語で、全て音便が起こるわけではありません) ウ音便と形容詞の関係ですが、形容詞の連用形の下に、助詞の「て」・「して」、用言が来る場合、語尾の「く」の部分(形容詞の正活用の連用形の語尾は「く」・「しく」)が「う」に変わるだけです。 ですから、「う」を「く」変えればいいので簡単です。 「めでたう見ゆ」の場合、「見ゆ」はヤ行下二段活用の動詞=用言なので、「めでたう」の「う」はウ音便という事になります。 ですから、「めでたう」の「う」を「く」に変えればいいのです。 なお、「いみじく泣く」と本文は答えに変えています。 本文を打つのも大変だったと思います。 投稿日時 - 2014-10-24 14:59:01.

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源氏物語『若紫/北山の垣間見』解説・品詞分解(4)

いみじう 現代仮名遣い

清少納言(康保3年頃(966年頃)~万寿2年頃(1025年頃))が平安時代中期に書いた 『枕草子(まくらのそうし)』の古文と現代語訳(意訳)を掲載していきます。 『枕草子』は中宮定子に仕えていた女房・清少納言が書いたとされる日本最古の女流随筆文学(エッセイ文学)で、清少納言の自然や生活、人間関係、文化様式に対する繊細で鋭い観察眼・発想力が反映された作品になっています。 紫式部が『源氏物語』で書いた情緒的な深みのある 『もののあはれ』の世界観に対し、清少納言は『枕草子』の中で明るい知性を活かして、 『をかし』の美しい世界観を表現したと言われます。 参考文献(ページ末尾のAmazonアソシエイトからご購入頂けます) 石田穣二『枕草子 上・下巻』(角川ソフィア文庫),『枕草子』(角川ソフィア文庫・ビギナーズクラシック),上坂信男,神作光一など『枕草子 上・中・下巻』(講談社学術文庫) [古文・原文] 38段 鳥は、異所(ことところ)のものなれど、鸚鵡(おうむ)、いとあはれなり。 人の言ふらむことをまねぶらむよ。 郭公(ほととぎす)。 水鶏(くひな)。 ひたき。 山鳥、友を恋ひて、鏡を見すれば慰むらむ、心若う、いとあはれなり。 谷隔てたるほどなど、心苦し。 鶴は、いとこちたきさまなれど、鳴く声の雲居(くもい)まで聞ゆる、いとめでたし。 頭赤き雀。 斑鳩の雄鳥(いかるがのおどり)。 巧鳥(たくみどり)。 鷺(さぎ)は、いと見目も見苦し。 眼居(まなこゐ)なども、うたて萬(よろづ)になつかしからねど、ゆるぎの森にひとりは寝じとあらそふらむ、をかし。 水鳥、鴛鴦(をし)いとあはれなり。 かたみに居かはりて、羽の上の霜払ふらむほどなど。 千鳥、いとをかし。 鶯(うぐいす)は、詩(ふみ)などにもめでたきものに作り、声よりはじめて、様かたちも、さばかり貴(あて)に美しきほどよりは、九重(ここのえ)の内に鳴かぬぞ、いとわろき。 人の「さなむある」と言ひしを、さしもあらじと思ひしに、十年ばかり侍ひて聞きしに、まことに更に音せざりき。 さるは、竹近き紅梅も、いとよく通ひぬべきたよりなりかし。 まかでて聞けば、あやしき家の見所もなき梅の木などには、かしかましきまでぞ鳴く。 夜鳴かぬも、寝(い)ぎたなき心地すれども、今はいかがせむ。 夏、秋の末まで、老い声に鳴きて、虫食ひなど、ようもあらぬ者は名をつけかへて言ふぞ、口惜しくくすしき心地する。 それもただ雀などのやうに常にある鳥ならば、さもおぼゆまじ。 春鳴くゆゑこそはあらめ。 [現代語訳] 38段 鳥は異国のものだけれど、オウムはとてもかわいらしい。 人の話す言葉を真似するというではないか。 ひたき。 山鳥は仲間を恋しがって、鏡を見せると自分の姿を仲間かと思って安心するが、その純粋さがとても哀れである。 また、雌雄が谷を隔てて夜に眠るというのも、心苦しいことだ。 鶴はとてもいかつい(怖そうな)外見をしているが、鳴く声が天まで届くというのは、とても素晴らしい。 頭の赤い雀。 斑鳩の雄鳥。 たくみ鳥。 鷺は、見た目がとても見苦しい。 あのぎょろりとした眼つきなども嫌な感じで、すべてが可愛げのない鳥であるが、「ゆるぎの森に独りでは寝ない」と言って妻を争っているのは面白い。 水鳥では、鴛鴦がとても味わいのある鳥だ。 夜に雌雄がお互いに代わり合って、羽の上に白く置いている霜を払っているところなど。 千鳥もとても趣きのある鳥だ。 鶯は、詩などにも素晴らしい鳥として歌われており、鳴き声をはじめとして、姿形はあんなに高貴・上品で美しいのに、宮中の中に来ても鳴いてくれないのは、とても残念で悪い。 ある人が「宮中では鳴かない」と言ったのを、私はまさかそんなことはないと思ったけれど、宮中に10年ばかりいて聞いていたが、本当に鶯は鳴くことがなかった。 しかし、竹の近くに紅梅があったりして、鶯にとっては通ってきて鳴くのに都合が良い場所のように思われるのだが。 宮中を退出して聞くと、貧しい家の何の見所もない梅の木では、うるさいほどに鶯が鳴いている。 夜に鳴かないのも、眠たいような感じがするが、生まれつきなので今更どうしようもないだろう。 夏・秋の終わり頃まで、年寄り臭い声で鳴いていて、虫食いなどと人にいつもと違う名前で言われているのは、とても悔しくて残念な気持ちがする。 それもただの雀などのように、いつもその辺にいる鳥であればそうも思われないだろう。 鶯が春に鳴く鳥だからである。 [古文・原文] 38段(終わり) 「年たちかへる」など、をかしきことに歌にも詩(ふみ)にも作るなるは。 なほ春のうち鳴かましかば、いかにをかしからまし。 人をも、人げなう、世のおぼえあなづらはしうなりそめにたるを、謗り(そしり)やはする。 鳶(とび)、烏(からす)などの上は、見入れ聞き入れなどする人、世になしかし。 されば、いみじかるべきものとなりたれば、と思ふに、心ゆかぬ心地するなり、祭の帰さ見るとて、雲林院(うりんいん)、知足院(ちそくいん)などの前に車を立てたれば、郭公(ほととぎす)も忍ばぬにやあらむ、鳴くに、いとようまねび似せて、木高き木どもの中に、諸声(もろこえ)に鳴きたるこそ、さすがにをかしけれ。 郭公はなほ、更に言ふべきかたなし。 いつしか、したり顔にも聞えたるに、卯の花、花橘(はなたちばな)などに宿りをして、はた隠れたるも、ねたげなる心ばへなり。 五月雨(さみだれ)の短き夜に寝覚(ねざめ)をして、いかで人よりさきに聞かむと待たれて、夜深くうち出でたる声の、らうらうじう愛敬(あいぎょう)づきたる、いみじう心あくがれ、せむかたなし。 六月になりぬれば、音もせずなりぬる、すべて言ふもおろかなり。 夜鳴くもの、何も何もめでたし。 ちごどものみぞ、さしもなき。 [現代語訳] 38段(終わり) 「年が立ち返る新年の朝から鶯の声が待ち遠しい」などと、風情のある面白い鳥として、歌にも詩にも歌われている鳥である。 春のうちだけ鳴くのであれば、鶯はどんなに素敵な鳥だろう。 人間であっても、落ちぶれてしまって、世間の評価が低下し始めた人を、改めて誹謗することがあるだろうか。 (はじめから評価の低い)鳶とか烏とかであれば、それに見入ったり論評し合ったりする人は、世の中にいないではないか。 だから、鶯は素晴らしい鳥だと世間の評価が決まっているので、夏・秋の終わり頃に評判が落ちてしまうのは、納得のいかない気持ちがするのだ。 祭りの帰さの見物で、雲林院や知足院などの前に車を立てかけて待っていると、ホトトギスのこの時期にはもう我慢できないといった感じで鳴いている。 すると鶯がそのホトトギスの声を真似て、あの辺の小高い木立の茂みの中で声を揃えて鳴くのは、さすがに素晴らしい情趣がある。 ホトトギスの風情は、今更言うまでもない。 いつの間にか、得意顔で鳴いているようにも聞こえるが、卯の花や花橘などに好んで止まり、その姿が見え隠れするのも、憎らしいほどの風情がある。 五月雨の時期の短い夜に、目を覚まして何とか人より先にその声を聞こうと待っていると、明け方の夜に鳴いたその鳴き声の堂々としていて可愛らしいこと、その声に非常に心を惹かれて憧れてしまうのも無理はない。 六月になると全く鳴かなくなるが、すべてが語り尽くせないほどの魅力である。 夜に鳴くものは、どれでも何でも素晴らしいものだ。 赤ん坊が泣いているのだけは、そうでもないが。

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枕草子の現代仮名遣い

いみじう 現代仮名遣い

御かたがた、君たち(第101段) 【冒頭部】 御かたがた、君たち、上人など、御前に人のいと多く 【現代語訳】 中宮様の御身内の方々や、君達、殿上人など、御前に人々が大変おおぜい伺候しているので、(私は少しはなれて)廂の間の柱に寄りかかって、女房と話などをしてすわっていると、中宮様が何かを投げておよこしになったので、それをあけてみると、「そなたを愛そうか、愛すまいか。 (その愛も)第一番でないならば、どうか」とお書きになってある。 (これは、私が中宮様の)御前で女房たちと話などする折りにも「万事、人に第一に思われないならば、まったく何の意味もない。 (そんなことならいっそ、)かえって、ひどく憎まれ、冷遇された方がよい。 第二、第三では、死んでも愛されたくない。 (ただもう)第一の人でありたい」と言うと、「(それではまるで、)法華経の一乗の法のようだわね」などと女房たちが笑うが、その話の事についてであると思われる。 筆や紙などをくださったので、私は「九品往生をとげられるなら、下品往生でも結構でございます」と書き、(中宮様に思われるなら、その最下級でも結構でございます、の意をこめて)さしあげますと、中宮様は、「ひどく気弱になってしまったことですね。 まったくいけませんね。 言い切ったことは、そのままおし通したらいいのに」とおおせられる。 「それは相手の人次第でございます」と申しあげると、(中宮様は)「それがよくないのだよ。 第一の人に、また第一に愛されようと思うがよかろう」と仰せになるのも、ほんとうにうれしい。 【語句】 何にかはせむ・・・何になろう、いや何にもならない。 なかなか・・・かえって。 むしろ。 思ひ屈し・・・気弱になる、気がめいる。 言ひとぢめつる・・・「言ひとぢむ」は、言い終わる、言い切る。 「とぢむ」は、事をなし終わる意。 さてこそあらめ・・・そのままでありたい。 中納言殿まゐりたまいて(第102段) 【冒頭部】 中納言殿まゐりたまいて、御扇たてまつらせたまふに、 【現代語訳】 中納言隆家様が参上なさって、中宮様に扇を献上なさる時に、「私は実にすばらしい骨を手に入れております。 それに紙を張らせたうえでさしあげようと思いますが、なみたいていの紙では張ることができそうにないので、すばらしい紙をさがしております」と申しあげなさる。 (中宮様は)「どんなようすなのか」とおたずねなさると、(隆家様は)「どこからどこまでもすばらしゅうございます。 人々も『今までにまったく見たこともない骨のありさまだ』と申す。 ほんとうにこれほどの骨は見かけなかった」と声高くおっしゃるので、(わたくしは、)「そんなに珍しい骨なら、扇の骨ではなくて、くらげの骨というわけですね」と申しあげると、(隆家様は、)「これは隆家のいったしゃれにしてしまおう」といってお笑いになる。 こんなことは、にがにがしいことの中に入れてしまうべきことであるが、(人々が)「一つでも書きもらすな」というので、どうしようもない。 【語句】 たてまつらせたまふに・・・献上なされたときに いみじき骨は得てはべれ・・・実にすばらしい扇の骨を手に入れましてございます おぼろけの紙・・・ふつうありきたりの紙 え張るまじければ・・・張ることもできそうにないので もとめはべるなり・・・(すばらしい紙を)さがしております いかやうにかある・・・どんなようすの骨なのか 問ひ聞こえさせたまへば・・・御質問なさると。 おたずねなさると。 すべていみじうはべり・・・どこからどこまでもすばらしゅうございます さらにまだ見ぬ・・・いままでに全然見たこともない かばかりのは見えざりつ・・・これほどのすばらしい骨は私も見かけませんでした 言高く・・・いちだんと声高く さては・・・それでは くらげのななり・・・くらげの骨なのだわ 聞こゆれば・・・申し上げると こと・・・秀句。 うまいしゃれ。 してん・・・してしまおう かやうのこと・・・このような自慢話めいたこと かたはらいたきこと・・・にがにがしいこと いかがはせむ・・・どうしようか、どうしようもない。 二月つごもり頃に(第106段)~二月のつごもり頃に~ 【冒頭部】 二月つごもり頃に、風いたう吹きて 【現代語訳】 二月下旬のころ、風がひどく吹き、空は雲におおわれてたいそう暗い上に、雪がちらついてきた時、(わたくしのいた)黒戸に主殿司がやって来て、「ごめんください」というので、そばへ寄ったところ、(主殿司は)「これは、公任の宰相殿の(お手紙です)といって手渡したのを、見ると、懐紙に、 すこし春ある……(まだ冬ですが、すこし春めいた気持ちがします) と書いてあるのは、ほんとうに今日の空模様によくかなっているにつけても、この上の句はどのようにつけたものかと思い悩んでしまった。 「(公任の宰相殿と同席されているのは)どなた様方ですか」とたずねると、「その方、あの方」と答える。 【語句】 つごもり・・・下旬または月末の最後の一日 空いみじうくろきに・・・空が雲におおわれて黒ずんでいるうえに かうてさぶらふ・・・ごめんください、まいりました、などのあいさつの意を表す慣用句 懐紙・・・たたんでふところに入れた紙 すこし春あるここちこそすれ・・・まだ二月ですがすこし春めいた気持ちがします げに・・・なるほど これがもと・・・これの上の句 いかでかつくべからん・・・どのようにつけたらよいだろうか 誰々か・・・(同席の方は)どんな方々ですか それそれ・・・その方、あの方 二月つごもり頃に(第106段)~みないとはづかしき中に~ 【冒頭部】 みないとはづかしき中に、宰相の御いらへを、 【現代語訳】 みんなたいへんに、こちらが気おくれがするほどにりっぱな方との中で、(特にりっぱな)公任の宰相殿へのご返事を、どうしていいかげんにいいだせようか、とひとり思案するあまり、中宮様にご覧に入れようと思うけれども、天皇様がおみえになっておやすみになっておられた。 主殿司は「さあ早く早く」としきりにいう。 なるほど、返歌がまずいうえに遅くまでなっては、全然とりえもないので、ままよ、どうでもなれと思って、 空さむみ……(空が寒いために散る雪が花かと見まちがうので) と、ふるえふるえ書いて渡して、(いったいこれを見て)人々がどう思っているだろうかとつらく思う。 これに対する批評を聞きたいと思うにつけ、もし悪く言われているならば聞くまいと思うのに、「俊賢の宰相などはすっかり感心して『やはり、内侍に任命していただくよう奏上しよう』と批評していらっしゃいました」とだけ、左兵衛の督で、当時中将であられた方が、わたくしにおっしゃいました。 【語句】 はづかしき中に・・・こちらが気おくれするほどりっぱな方々の中で ことなしびに・・・いいかげんに 御前・・・中宮様 御覧ぜさせん・・・お目にかけ相談しよう 上・・・天皇 おほとのごもりたり・・・おやすみになっておられる おそうさへあらんは・・・まずいうえにおそくまであるのは さばれ・・・ままよ。 なんとでもなれ。 空さむみ・・・空が寒いので 花にまがへて散る雪に・・・雪が降るが、それが桜の花の散るときのように見えて いかに思ふらん・・・公任の宰相をはじめとして殿がたは、どのように思っているだろう わびし・・・心配である 奏して・・・帝に奏上して 左兵衛の督の中将におはせし・・・左兵衛の督で、その時中将であられたかた 関白殿、黒戸より(第129段)~関白殿、黒戸より出でさせ給ふとて~ 【冒頭部】 関白殿、黒戸より出でさせ給ふとて、女房のひまなく 【現代語訳】 関白殿(道隆)が、黒戸からご退出になるというので、女房がすきまもなく伺候しているのを(ご覧になり)、(関白殿は)「まあすばらしいみなさんがたじゃ。 このとしよりをどんなにか笑っておられることだろう」といって、(その間を)かきわけて、おでになるので黒戸の戸口に近い女房たちが色さまざまの袖口をのぞかせて、みすを上げると、そこに権大納言(伊周)が、沓を持っておはかせ申し上げになる。 (権大納言)おもおもしく、美しく、端然としていて、下襲の裾を長く引き、あたりを圧倒するりっぱな姿で、伺候しておられる。 まあすばらしい。 大納言ほどの人に、沓を取らせ申し上げなさるのだよと思われる。 山の井の大納言(道頼)や、官位がこれにつぐ道隆の身内でない人々が、黒いものを散らしたように、藤壺の塀のきわから、登花殿の前まで、いならんでいるところに、(関白殿)がすらりとしてたいそう優雅なお姿で、御佩刀などおとり直しになって、たたずんでおられると、中宮の大夫殿(道長)は、戸の前に立っておられるので、ひざまづきなさらないおつもりだろうと思ううち、(関白殿が)すこし歩み出されると、ひょっとひざまづきなさったのは、やはりどれくらいの前世における功徳の結果であろうかと、お見上げ申したが、なんといってもたいしたものであった。 【語句】 ものものしく・・・いかしめく。 おごそかに。 おもおもしく。 りっぱに。 よそほしげに・・・みるからにいかめしく。 あなめでた・・・まあ、すばらしいことだ。 ひきつくろはせ給ひて・・・取り直されて。 「ひきつくろふ」は、身だしなみをする。 ふと・・・ひょういと。 関白殿、黒戸より(第129段)~中納言の君の、忌日とて~ 【冒頭部】 中納言の君の、忌日とてくすしがりおこなひ給ひしを 【現代語訳】 中納言の君が、人の命日だといって、奇特にも勧行しておられるのを、「その数珠をしばらく貸して下さい。 私も勧行して、けっこうな関白のような身になりたいものです」と借りようとして集まって笑うが、なんといってもやはり、関白殿の御盛運はすばらしい。 中宮様がお聞きになって、「仏になったなら、関白の身よりはもっといいでしょう」といって、お笑いになるのを、これまたすばらしく感じてお見上げ申した。 大夫殿がひざまづかれたことをくりかえし申し上げると、「例のごひいきにする人なんですね」とお笑いになったが、まして、その後の(道長様の)ご繁栄を、もし(中宮様が)ご覧になったならば、私のいったことばも、道理であるとお思いになったであろうに。 【語句】 忌日・・・命日。 くすしがり・・・奇特に。 神妙に。 めでたき身・・・すばらしい身。 結構な身。 借るとて・・・借りるとて。 例のおもひ人・・・例のひいきの人。 「おもひ人」は、思いをよせる人。 ことわりと・・・道理であると。 九月ばかり(第130段) 【冒頭部】 九月ばかり、夜一夜降りあかしつる雨の、 【現代語訳】 (陰暦)九月のころ、一晩中降りつづいて夜を明かした雨が、今朝はやんで、朝日がぱっとうつくしく輝きだしたころ、庭の植えこみの露が、こぼれおちるほど濡れおいているのも、まことに風情がある。 透垣の羅文、あるいは軒の上などに、かけわたした蜘蛛の巣がくずれ残っているところへ、雨が降りかかっているのが、まるで白い玉を糸で貫き通したようなのが、たいへんに情趣を感じさせておもしろい。 すこし日が高くなってくると、萩などの、露がおいてひどく重そうであったのに、露がおちると、枝が(自然と)ゆれ動いて、だれも手を触れないのに、すっと上のほうへはねあがったのも、たいそうおもしろいといったことなどが、他の人の心にはすこしもおもしろくあるまいと思われる(ので)、それがまたおもしろく感じられてくる。 【語句】 九月ばかり・・・陰暦九月のころ 夜一夜・・・一晩中 降りあかしつる・・・降り続いて夜を過ごした けざやかに・・・あざやかに。 ぱっと美しく。 さし出でたるに・・・輝き出したところに 前栽・・・庭の植えこみ。 主に草花をさす。 透垣・・・板または竹で、間を透かして造った垣 羅文・・・戸や板がきなどの上に、細い竹や木などをひし形に組んで作ったもの かいたる・・・張りわたしてある こぼれ残りたるに・・・こわれて残っているのに あはれにをかしけれ・・・情趣を感じて興味深い 日たけぬれば・・・日が高くなってしまうと かみざまへ・・・上のほうへ 人の心・・・他人の心 つゆ・・・すこしも 五月ばかりなどに(第137段) 【冒頭部】 五月ばかりなどに山里にありく、いとをかし。 【現代語訳】 五月のころなどに、山里を(牛車で)乗りまわるのは、まことに風情を感ずる。 草の葉も水もずっと一面に青々と見えているが、表面はさりげないようすで草が生い茂っている(所)を、そのままどこまでも、まっすぐに行くと、下はなんともいえない(清らかな)水が、深くはないが、従者などがあゆむにつれて、飛沫となってとびあがるのが、まことにおもしろい。 (道の)左右にある(人家の)垣にあるなにかの木の枝などが、牛車の屋形などに入りこむのを、(車内で)いそいでつかまえて折ろうとするときに、ふっと車が通り過ぎて、(手から)はずれてしまうのは、たいへん残念である。 蓬で、車の輪におしつぶされたのが、輪のまわるにつれて、(顔の)近くまで、かおってくるのもいい。 【語句】 ありく・・・(牛車で)乗りまわる 上はつれなくて・・・表面は、さりげないようすで ながながと・・・長々と、 ただざまに・・・まっすぐに えならざりける水・・・なんともいえないほど清らかな水 あゆむ・・・歩行する ものの枝・・・なにかの木の枝 屋形・・・牛車の人が乗る部分 ふと過ぎて・・・ふいと牛車が通り過ぎて 蓬の車に押しひしがれたりけるが・・・蓬で、牛車におしつぶされたのが。 牛車におしつぶされた蓬が。 うつくしきもの(第151段) 【冒頭部】 うつくしきもの瓜にかきたるちごの顔。 【現代語訳】 かわいらしいもの。 瓜に描いたちごの顔。 雀の子が、だれかがチュッチュッとねず鳴きするとぴょんぴょんおどるようにしてやってくる(こと)。 二、三歳くらいの赤ちゃんが、急いで這って来る途中で、大変小さいごみがあったのを目ざとく見つけて、とてもかわいらしい指でつまんで、おとななどに見せているのは、本当にかわいらしい。 頭の髪の毛はおかっぱにしてある幼児が、目におおいかぶさっているのをはらいのけようともしないで、小首をかしげてものなどを見ているのも、かわいらしい。 そう身体の大きくはない殿上童が、きちんと着物を着せられて歩いているのも、かわいらしい。 かわいい赤ちゃんが、ほんのちょっと抱いて遊ばしかわいがっているうちに、しがみついて寝ているのも、たいそう愛らしい。 人形あそびの道具。 蓮の浮き葉でたいへん小さいのを、池から取り上げたもの。 葵のたいへん小さいもの。 何でもかでも、小さいものはみなかわいらしい。 非常に色が白く肥えている赤ちゃんで二歳くらいなのが、二藍の薄物など、着物のたけが長くて、たすきを結っているのが、這い出しているのも、また、たけの短い着物で袖ばかりが目立っているのを着て這い歩きまわっているのも、みなかわいらしい。 八つ、九つ、あるいは十歳くらいなどの男の子が、声は幼げにかん高い調子で書物をよんでいるのは、たいへんかわいらしい。 鶏のひなが、足高といった感じで、色も白くかわいらしげに、着物が短いといった様子で、ぴよぴよとやかましく鳴いて、人のあとやさきに立って歩くのも、おもしろい。 また、親どりが、一緒に連れて走るのも、みんなかわいらしい。 それにかりのこ。 瑠璃の壷。 【語句】 うつくしきもの・・・かわいらしいもの 瓜にかきたるちごの顔・・・ひめうりに描いてある幼児の顔 雀の子の、ねず嗚きするにをどり来る・・・人がちゅうちゅうと言って呼ぶと、飼っている雀の子が躍るようとして近寄ってくる。 目ざとに・・・目ざとく をかしげなるおよび・・・愛らしい感じの指 あまそざ・・・肩で切りそろえた髪型 かきはやらで・・・かきやりもしないで。 殿上童・・・公卿など良家の子弟で、見習いのために、元服前に、清涼殿の殿上の間に昇殿することを許されて、雑役などに奉仕する者。 さうぞきたてられて・・・きちんと着物を着せられて あからさまに・・・ほんのちょっと 遊ばし・・・遊ばせる らうたし・・・かわいらしい。 いとしい。 雛の調度・・・人形遊びの道具類 いみじうしろく肥えたるちごの・・・たいへん色白に太っている幼児で 蓮の浮き葉・・・水面に浮いて開いている蓮の葉 葵・・・フタバアオイ 二藍・・・濃い紫色 うすもの・・・薄い織物 衣ながにて・・・着物のたけが長くて 袖がちなる・・・袖ばかりがひどく目立つ ふみ・・・漢籍のこと 足高に・・・ひよこの足がまだ上の方まで十分に毛の生えていない状態をいったもの 衣みじかなるさまして・・・着物が短いようなかっこうで かしがましう・・・やかましく。 うるさく。 しりさき・・・後と前。 かりのこ・・・あひるや鷲鳥の卵のことか 瑠璃の壷・・・青色で玉のようにつやのある壷 村上の先帝の御時に(第175段) 【冒頭部】 村上の先帝の御時に、雪のいみじう降りたりけるを 【現代語訳】 先の村上の帝の御代に、雪がたいへん多く降ったのを、(帝が)白い器にお盛らせになって、それに梅の花をさして、月がたいへん明るい時に、「これにふさわしい歌を詠め。 どんな歌を作るかな。 」と、兵衛の蔵人(という女房)にお与えになったところ、(兵衛の蔵人が)「雪月花の時」と(『白氏文集』の詩を一節を引いて)お答え申し上げたのを、(帝は)とても賞賛なさった。 「歌などを詠むのは、世間でもありきたりなことだ。 こんなふうに、その時にぴったり合ったことは、容易には言えないものだ。 」と仰せになった。 同じ兵衛の蔵人をお供にして、殿上の間に(他に)だれも伺候していなかった時に、(帝が)立ち止まっておいでになると、火鉢から煙が立ちのぼったので、「あれは何の煙か、見てこい。 と奏上したのはおもしろい。 (気づいたら)蛙が飛び込んで焼けているのであったよ。 【語句】 奏す・・・天皇に申し上げる。 さぶらふ・・・高貴な人のそばにお控えする意。

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