八 ッ 場 ダム 台風。 八ッ場ダムが本格運用されていれば、今回の台風で緊急放流を行う事態に

「八ッ場ダムが氾濫を防いだ」は本当? 次の台風に備える5つの課題(橋本淳司)

八 ッ 場 ダム 台風

八ッ場ダムは10月1日に試験湛水を始めましたが、この台風による大雨で一気に水位が上がりました。 右画像= 今回の台風19号により、試験湛水中の八ッ場ダムの貯水量が一挙に増えました。 八ッ場ダムの貯水量が急増したことに関して、 「台風19号では利根川中流の堤防が決壊寸前になった。 決壊による大惨事を防いだのは八ッ場ダムの洪水調節効果があったからだ。 八ッ場ダムの反対運動を進めてきたことを反省せよ」という趣旨の意見が寄せられています。 利根川中流部の水位は確かにかなり上昇しましたが、決壊寸前という危機的な状況ではありませんでした。 このことに関して、八ッ場ダム問題に長年取り組んできた嶋津暉之さん(当会運営委員、元東京都環境科学研究所研究員)が現時点でわかることを下記の通り整理しましたので、その結果を掲載します。 以下のコメントに出てくる河川行政の用語の意味 〈注1〉計画高水位・・・河川の水位は、ダムなどの洪水調節施設をつくる計画により、一定程度下がることが想定されています。 堤防を整備する際には、計画高水位まで川の水が流れても耐えうるよう設計することになっています。 〈注2〉計画堤防高・・・計画高水位に余裕高を加算した堤防の高さ。 〈注3〉河川整備計画・・・河川管理者(利根川の場合は国土交通大臣)が定める具体的な河川整備に関する計画。 ~~~~~ 現時点のコメント(2019年10月14日 13時) 現時点では、公表されている洪水のデータが限られていますので、言えることは限られていますが、国交省の水文水質データベースのデータを使って検討してみました。 以下の 左の図は利根川の群馬県伊勢崎市八斗島(やったじま)地点、 右の図は埼玉県久喜市栗橋地点における今回の洪水の水位変化です。 八斗島地点は利根川の中流部の最上流側、栗橋地点は中流部の最下流に近い場所です。 (以下の図をクリックすると拡大表示されます。 ) このことを数字で検討しました。 上の栗橋地点のグラフでは、今回の洪水の最高水位は9. 67mで、計画高水位9. 9mに近い値になっています。 利根川河川整備計画では、計画高水位9. このことは河床掘削作業が十分に行われず、そのために利根川中流部の河床が上昇して、流下能力が低下してきていることを意味します。 下記の栗橋地点における水位と流量の関係図を見ると、河川整備計画に沿って河道の維持がされていれば、今回の洪水ピーク水位は70㎝程度下がっていたと推測されます。 今回の最大流量の推測値、約11,700㎥/秒を97%で割ると、12,060㎥/秒です。 八ッ場ダムの効果がなければ、この程度のピーク流量になっていたことになります。 12,060㎥/秒に対応する栗橋地点の水位を、上の図「栗橋の水位と流量の関係」から求めると9. 84mになり、実績の9. 67mより17㎝高くなりますが、大きな数字ではありません。 八ッ場ダムがなければ大変なことになったという意見が聞かれますが、国交省の数字を使うと、八ッ場ダムの効果はこの程度のものなのです。 河川整備計画に沿って河道の維持(河床掘削作業)に努めていれば、上記の通り、栗橋地点の水位は70cm程度低下していたのであっで、八ッ場ダムの小さな治水効果を期待するよりもそのことの方がはるかに重要です。

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「八ッ場ダムが氾濫を防いだ」は本当? 次の台風に備える5つの課題(橋本淳司)

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北海道・東北• 東海・甲信越• 近畿・北陸• 中国・四国• 九州・沖縄• 台風19号の記録的な大雨による利根川の増水について、国土交通省が利根川上流ダム群の治水効果をまとめた。 試験貯水中だった八ツ場(やんば)ダム(群馬県長野原町)にためた分も含め、上流と中流の境目にあたる観測地点で水位を1メートル下げたという。 このため、避難勧告などの目安となる氾濫(はんらん)危険水位は超えず、「治水効果を発揮した」と国交省はみている。 検証対象のダムは試験貯水中の八ツ場のほか、矢木沢、奈良俣、藤原、相俣(いずれも群馬県みなかみ町)、薗原(同県沼田市)、下久保(同県藤岡市・埼玉県神川町)の計7ダム。 利根川中流で合流する渡良瀬川の草木ダム(群馬県みどり市)は除いた。 国交省関東地方整備局によると、検証した観測地点は八斗島(やったじま)(同県伊勢崎市)で堤防高は左岸8・07メートル、右岸8・1メートル。 堤防の安全性が保てなくなるとされる計画高水位は5・28メートルで、氾濫危険水位は4・8メートルだった。 台風19号が関東地方を縦断中の10月12日午後11時半、八斗島では最高水位の4・07メートルを記録した。 一方、上流のダム群は計1億4500万立方メートルの水を台風19号でためた。 整備局が雨量、河川流量、ダムの貯留量などを基に試算した結果、7ダムがなければ八斗島の水位は1メートル上昇して5・07メートルとなり、氾濫危険水位を超えていたという。 整備局河川計画課の担当者は「計画高水位よりは低かったとしても、予想外の大雨がもっと降り続いたかもしれず、ダムがなくても安全だったと言える結果ではない」と分析している。 半面、ダムも余裕があったわけ….

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八ッ場ダムのおかげで「利根川が助かった」は本当か 識者らに見解を聞く: J

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台風19号の大雨で水かさが増した八ツ場ダム=2019年10月16日、群馬県長野原町 八ツ場ダムの洪水位低下効果は利根川中流部で17㎝程度 10月13日未明に避難勧告が出た埼玉県加須市付近の利根川中流部についてみる。 本洪水で利根川中流部の水位は確かにかなり上昇したが、決壊寸前という危機的な状況ではなかった。 加須市に近い利根川中流部・栗橋地点(久喜市)の本洪水の水位変化を見ると、最高水位は9. 67m(観測所の基準面からの高さ)まで上昇し、計画高水位9. 90mに近づいたが、利根川本川は堤防の余裕高が2mあって、堤防高は計画高水位より2m高いので、まだ十分な余裕があった。 なお、栗橋地点の氾濫危険水位は8. 9mで、計画高水位より1m低いが、これは避難に要する時間などを考慮した水位であり、実際の氾濫の危険度はその時の最高水位と堤防高との差で判断すべきである。 八ツ場ダムの治水効果については2011年に国交省が八ツ場ダム事業の検証時に行った詳細な計算結果がある。 それによれば、栗橋に近い地点での洪水最大流量の削減率は8洪水の平均で50年に1回から100年に1回の洪水規模では3%程度である。 本洪水はこの程度の規模であったと考えられる。 本洪水では栗橋地点の最大流量はどれ位だったのか。 栗橋地点の最近8年間の水位流量データから水位流量関係式をつくり、それを使って今回の最高水位9. 八ツ場ダムによる最大流量削減率を3%として、この流量を97%で割ると、12,060㎥/秒になる。 八ツ場ダムの効果がなければ、この程度の最大流量になっていたことになる。 この流量に対応する水位を上記の水位流量関係式から求めると、9. 84mである。 実績の9. 67mより17㎝高くなるが、さほど大きな数字ではない。 八ツ場ダムがなくても堤防高と洪水最高水位の差は2m以上あったことになる。 したがって、本洪水で八ツ場ダムがなく、水位が上がったとしても、利根川中流部が氾濫する状況ではなかったのである。 河床の掘削で計画河道の維持に努める方がはるかに重要 利根川の水位が計画高水位の近くまで上昇した理由の一つとして、適宜実施すべき河床掘削作業が十分に行われず、そのために利根川中流部の河床が上昇してきているという問題がある。 国交省が定めている利根川河川整備計画では、計画高水位9. このことは、利根川上流から流れ込んでくる土砂によって中流部の河床が上昇して、流下能力が低下してきていることを意味する。 河川整備計画に沿った河床面が維持されていれば、上述の水位流量関係式から計算すると、今回の洪水ピーク水位は70㎝程度下がっていたと推測される。 八ツ場ダムの小さな治水効果を期待するよりも、河床掘削を適宜行って河床面の維持に努めることの方がはるかに重要である。

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